劇的な雨天決戦で初のBTCC王座、BMWのジェイク・ヒルが見事戴冠/2023最終戦レポート
ジェイク・ヒル(レーザー・ツールズ・レーシング・ウィズMBモータースポーツ/BMW 330e Mスポーツ)が、キャリア初のBTCCチャンピオンに輝いた。最終戦では、2022年王者トム・イングラム(ブリストル・ストリート・モータース・ウィズ・エクセラー8/ヒョンデi30ファストバック Nパフォーマンス)と同率首位で臨んだ。
ブランズハッチのGPレイアウトで行われた3ヒートの激しい戦いの末、雨天コンディションに救われた後輪駆動のBMWが、前輪駆動のヒョンデを撃破。2位表彰台に立ったヒルが、1点差でBTCCチャンピオンに輝いた。
前戦シルバーストーンで2勝1敗とし、ヒルと同ポイントで首位に立ったイングラムは、最終戦を前に「自信があり、リラックスしていて、精神的にとても強いと感じている」と語った。ブランズハッチでの好成績と、最終戦で同ポイントというユニークな力学について、「ドライバー、チーム、ファンにとってエキサイティングな展開だ」と述べた。
予選では、WSRのBMW艦隊が先手を奪い、コリン・ターキントン(チームBMW/BMW 330e Mスポーツ)が今季4回目のポールポジションを獲得。ターキントンは「明日はいいスタートが切れるし、まずは1周目を乗り切り、そこから戦略を調整したい」と語り、ヒルのサポート役を示唆した。
レース1では、イングラム、サットン、ジョシュ・クック(LKQユーロカーパーツ・ウィズ・シネティック/トヨタ・カローラGRスポーツ)がオープニングラップで接触。サットンとクックがリタイアを喫し、イングラムも9番手からの巻き返しを強いられた。ヒルはWSRのチームプレーを活かし、今季8勝目を飾った。
レース2では、イングラムが3番手からスタートし、2周目のパドックヒル・ベンドでヒルを抜き去り、今季6度目の優勝を果たし、ヒルとの差を1ポイントに縮めた。
最終レースでは、雨粒が落ち始め、路面がウエットに。ヒルは9番手から出たイングラムを抜き去り、2位表彰台を決め、8ポイント差で初の王座を獲得。サットンのフォードが「チャンピオン退役」の瞬間を、今季3度目のトップチェッカーで締め括った。
ヒルは「この感情を言葉で言い表すことはできない。これはまさに僕がずっと望んでいたことであり、今ここに2024年のBTCCチャンピオンとして立っていることは、ただただ信じられないことだ」と喜びを語った。また、WSR、MBモータースポーツ、家族、友人、パートナーに感謝の言葉を述べた。
イングラムとサットンも、ヒルの初チャンピオンを称え、「彼らは素晴らしいシーズンを送り、ジェイクはタイトルに完全に値する」と祝福の言葉を残した。イングラムは「最終的にはわずかに及ばず、これは明らかに受け入れがたいことだが、シーズンを通じて示してきたパフォーマンスに少しも落胆することはない」と述べた。サットンも「チームが僕に与えてくれたクルマは本当に素晴らしいもので、最後のレースでそれが証明された」と語り、ヒルの成功を祝った。