『ラピュタ』公式小説が明かすシータとパズーのその後：都市伝説を超えた物語

スタジオジブリの作品には、しばしばファンからの「都市伝説」がささやかれ、それが真実かのように広まることがあります。1986年に公開された『天空の城ラピュタ』もその一つで、一部のファンの間で「別のエンディング」があるといううわさが存在していました。しかし、このうわさについては、スタジオジブリのプロデューサーの鈴木敏夫さんが公式サイト内で否定しています。

この都市伝説が生まれた理由について、鈴木さんは同サイト内で1986年に刊行された『アニメージュ文庫 小説 天空の城ラピュタ』（徳間書店）に言及しています。この小説では、映画では描かれなかったシータとパズーの「その後」が綴られています。

小説の最後の章「再びゴンドアの谷」では、シータが故郷のゴンドアに戻り、ヤクという家畜の世話をしている様子が描かれています。映画のラストから半年が経過しており、「鳥の影にもハッとさせられ、青空にも脅えたラピュタの恐ろしい体験も、ようやく空を平気で振り仰げるほど癒やされていた」と書かれています。これにより、シータがラピュタでの体験にトラウマを抱いていたことが分かります。

シータの元には、パズーからの手紙が届きます。パズーは、作中で製作途中だった鳥型飛行機（オーニソプター）の完成が間近であることを伝え、「完成したら、必ず飛んでいく」と、シータに会いに行くことを約束しています。

また、ラピュタの財宝を狙っていた空中海賊「ドーラ一家」のその後についても触れられています。パズーの手紙の追伸には、「鳥のようなくちばしを持った正体不明の飛行船が、軍の給料をまんまと奪った」という新聞記事が出ていたと記されています。パズーは大きな字で「『おばさんに間違いないよね』」と書き、ドーラ一家のリベンジ成功を喜んでいる様子が伝わってきます。

小説を読んだファンからは、SNS上で「このふたりはゆくゆくは結婚して、ゴンドアの谷で暮らすのかなぁ……」と、シータとパズーの恋愛模様に期待する声や、「シータがしばらくトラウマを抱えていた描写に、胸がずきずきした」などのさまざまな意見が寄せられています。

さらに1996年6月に刊行された『スタジオジブリ作品関連資料集I ナウシカ・ラピュタ』（徳間書店）には、パズーがオーニソプターに乗ってシータを訪問する姿が描かれています。これらのイラストや小説から、ふたりの「その後」について想像を広げるのも楽しいかもしれません。