「トヨタ会長・豊田章男の意外な一面と、その生真面目さが生む庶民感覚」
トヨタ自動車会長の豊田章男氏の意外な一面が、小山晃弘氏のnote記事で話題となっている。小山氏は豊田章男氏の長男、豊田大輔氏の中学・高校時代の友人であり、章男氏とのエピソードをユーモアと洞察を交えて綴っている。
ある日、小山氏と大輔氏、そして章男氏の3人がカヌーで川下りを楽しんだ後、章男氏が「贅沢ばかりをしちゃいけないよ。だから今から銭湯に行こう」と言ったというエピソードがある。この言葉に小山氏は少し困惑した。自宅のお風呂に入れば無料なのに、有料の「銭湯」を贅沢を戒める文脈で使う章男氏の発言が、彼の常識とはかけ離れていたからだ。また、小山氏は豊田家には巨大な風呂があることを知っていた。
しかし、小山氏は章男氏の言葉の真意に気づいた。章男氏にとって、自宅のような贅沢な設備ではなく、みんなで共有する銭湯こそが我慢をともなう体験なのだ。この解釈に小山氏は妙に納得した。
豊田家のような特別な環境で育った章男氏は、世間とは異なる生活スタイルを送っているため、どうしてもズレが生じてしまう。しかし、章男氏はそのズレを修正しようとする「生真面目さ」を持っており、それが滑稽に見えるものの、どこか好感を抱かせる。
小山氏は、友人である大輔氏が「普通」であることに驚きと評価を感じている。豊田家という特別な環境で育ちながらも「普通」でいることができる点を「脅威」と表現している。章男氏は自分なりの考えに基づいて、庶民感覚を理解しようと努めた。その結果、子どもたちに「普通」であることの重要性を教え、成功させた。
章男氏の庶民感覚とのズレと、そのズレを必死に修正しようとする生真面目さは、彼の経営者としての資質を強く感じさせる。トヨタ自動車の強さの源泉は、章男氏が庶民感覚とのズレを認識したうえで、庶民感覚から遠ざからないために弛まぬ努力を続けてきたことにある。
彼の経営手腕は執念とも言えるほどのものであり、トヨタの成功を支える大きな要因である。このようなリーダーシップが、トヨタのさらなる成長を導いていくと言える。