国家公務員の給与アップ2.76%と民間企業の賃上げ格差:子どもの職業選択への影響とは?
2024年度の国家公務員の給与が平均2.76%引き上げられることになりました。これは、物価高や人手不足を背景に、民間企業との賃上げ格差を埋めるための措置です。2024年8月8日、人事院は国会と内閣に対して、国家公務員の給与引き上げを勧告しました。この引き上げ幅は、約30年ぶりの高水準です。
一方、民間企業の賃上げ状況を見ると、厚生労働省が公表した「令和6年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況」によれば、平均妥結額は1万7415円、賃上げ率は5.33%となっています。これは、コロナ禍前の令和元年を大きく上回る水準です。民間企業の賃上げ率が5.33%であるのに対し、国家公務員の2.76%では、民間企業の平均的な賃上げ額には及んでいません。
親世代が子どもに就職してほしい先として公務員が人気なのは、給与面での安定性が大きな理由です。公務員の給与は法律で定められているため、経済状況に左右されずに安定した給与を得られるメリットがあります。マイナビの2023年度 就職活動に対する保護者の意識調査では、子どもに働いてほしい企業のトップは公務員で、2位のトヨタ自動車を大きく上回っています。
公務員は、安定した給与や賞与が受け取れることが大きな魅力ですが、民間企業にも独自のメリットがあります。民間企業では、仕事の成果に応じて昇格・昇給の可能性があります。若くして20代で会社の幹部に抜てきされることもあり、能力と実績次第では公務員では考えられないスピード出世を実現できる可能性があります。また、営業職などでは業績次第でインセンティブを受け取れ、同年代の公務員を大きく上回る年収を得ることも可能です。
さらに、民間企業では副業や起業・独立など、さまざまなキャリア形成の選択肢があるため、仕事を選ぶ自由度が高いという魅力もあります。子どもから将来の仕事について聞かれた場合、公務員だけでなく民間企業の魅力も説明して比較検討を助けてあげることが重要です。
2024年度の公務員の賃上げは、物価高や人手不足などを背景に賃上げが進む民間企業との格差解消が目的であり、直近の賃上げ幅は民間企業のほうが上回っています。とはいえ、公務員は給与が法律で決まることから安定感があり、親世代が子どもに就職してほしい先としても人気です。一方、民間企業では個人の成績で昇格や昇進でき、インセンティブをもらえ、公務員以上の給与・賞与を得られる可能性があるなどのメリットがあります。