『無能の鷹』菜々緒主演で働く人の心を癒す新ドラマ、ポンコツキャラに注目
菜々緒が主演を務める金曜ナイトドラマ『無能の鷹』が、10月11日からテレビ朝日系で放送開始となる。本作は、はんざき朝未の漫画を原作としたお仕事コメディで、脚本は根本ノンジが手がける。
ドラマのプロデューサーは、『おっさんずラブ』シリーズの貴島彩理。貴島はバラエティ番組のAD・ディレクターを経て、2016年にドラマ制作部へ異動。『おっさんずラブ』が社会現象を巻き起こし、その後も多くの秀作を世に送り出してきた。
貴島プロデューサーの作品には、ポンコツキャラが欠かせない。『おっさんずラブ』の春田(田中圭)、『あのときキスしていれば』の桃地(松坂桃李)、『星降る夜に』の深夜(ディーン・フジオカ)、『unknown』の座山(志尊淳)など、少し抜けていて、現実世界では疎まれたり嘲笑されたりしそうなキャラクターが、愛らしさたっぷりに描かれている。
新作『無能の鷹』の主人公・鷹野ツメ子(菜々緒)は、ITコンサルティング会社「TALON」の新入社員。スマートな身のこなしと自信に満ち溢れた佇まいで、周りを「こいつはデキる……!」と確信させるが、蓋を開けてみたら何にもできない。コピーもまともに取れず、パソコンは絶望的、「燃費」を「もえぴ」と読んでしまう、清々しいほどのポンコツっぷりで上司たちの頭を悩ませる。
鷹野とタッグを組むのは、同期の鶸田道人(塩野瑛久)。鶸田は鷹野と真逆で、実は努力家で有能なのに、その気弱そうな雰囲気と態度からデキない奴と思われがち。塩野は現在放送中のNHK大河ドラマ『光る君へ』で一条天皇役を好演中。『源氏物語』の光源氏さながらの麗しい姿が話題になっているが、中宮・定子(高畑充希)に夢中になるあまり、政務がおろそかになってしまうような一条天皇の揺れ動く感情を捉えた演技も印象的だ。
新入社員の2人を取り巻くサブキャラクターも魅力的。土居志央梨が演じる開発部のエンジニア・鵙尾弓は、オレンジヘアとダルっとしたパーカー姿で、性格も「ダル……」が口癖の脱力メンタル。営業部の鵜飼朱音(さとうほなみ)とは犬猿の仲だが、心から嫌っているわけではない。
また、鷹野の教育係・鳩山樹を演じるのは井浦新。鳩山はドがつくほどのお人好しで、みんなが諦めている鷹野のことも見捨てず、良いところを見つけ、褒めて伸ばそうとする。鷹野は鳩山に感謝しつつも、申し訳ないとは一切思わず、堂々たる社内ニートとして過ごす。
『無能の鷹』は、生産性が叫ばれる世の中でも、人間は機械ではなく、仕事ができなくたって生きる価値があることを教えてくれる。登場人物たちのコミカルなやりとりに大いに笑ったり、日々忙しなく働く人たちの心を癒してくれるチルなドラマになりそうだ。