【LiLiCoが推す映画】若者に観てほしい『恋するピアニスト フジコ・ヘミング』と『まつりのあとのあとのまつり「まぜこぜ一座殺人事件」』

LiLiCoさんが映画コメンテーターとして2001年からTBS『王様のブランチ』に出演するなど、多方面で活躍しています。今回は、彼女が「絶対に観逃してほしくない」と推荐する2作品について語ります。

まず、10月18日から公開される『恋するピアニスト フジコ・ヘミング』。このドキュメンタリーは、2020年から他界するまでの4年間、ピアニストのフジコ・ヘミングさんを追った作品です。フジコさんは、子どもの頃から音楽の道を歩み、母親が弾いていたショパンの「ノクターン」に魅せられました。60代後半から世界的に注目を集め、その半生はドラマチックで、ピアノよりも彼女の人生そのものが話題となりました。

しかし、彼女は活動を止めることなく、世界中で公演を続けました。その原動力となったのは、猫や犬に囲まれた生活。東京、サンタモニカ、パリの自宅でのプライベート空間や、第二次世界大戦中を過ごした岡山での思い出も映し出されます。2018年にロングランヒットを記録した『フジコ・ヘミングの時間』の続編とも言える本作は、監督との関係性が深まったことで、よりパーソナルな内容となっています。

コロナ禍での活動も描かれており、配信によるコンサート活動にも積極的に取り組んでいました。90代になっても活動のスピードを落とさず、音楽への情熱は衰え知らず。彼女の人生から、息長く自分を信じた活動の大切さを学ぶことができます。

もう1作品は、同じく10月18日から公開される『まつりのあとのあとのまつり「まぜこぜ一座殺人事件」』。この社会派コメディは、東ちづるさんが企画・構成・プロデュース・主演を務めた作品です。東さんが主宰する「まぜこぜ一座」の公演終了後の打ち上げで、東さんが絞殺死体で発見されるという事件が起こります。エレベーターが故障し、携帯電話の電波も遮断され、その場にいた全員が容疑者となります。

登場人物の多くが本人役で、公演も実際に行われたため、ドキュメンタリーのようなタッチで描かれています。多様性の受容に対する一般の人々の問題意識と当事者のリアルな苦悩のギャップを描き、重い題材をコメディーでエンターテイメントにしています。東さんは、メディアの意識改革の重要性を直球で批判し、問題解決のためにはまず映画を観ることを呼びかけています。