23歳プロデューサー牧島俊介の挑戦:テレビ東京「ナキヨメ」で描く新感覚バラエティ

23歳プロデューサー牧島俊介の挑戦:テレビ東京「ナキヨメ」で描く新感覚バラエティ

牧島俊介プロデューサーが手がけたバラエティ番組「ナキヨメ」が、テレビ東京で放送された。この番組は、旧療養所という怪奇現象が起こるといわれる場所を舞台に、感受性豊かな柴田理恵とマユリカ中谷が、未練を残して亡くなった者に寄り添い、丁寧に清めるという内容だ。心揺さぶる実録番組かと思いきや、演者が自らの涙を熱して、その塩でお清めをするという、ドキュメンタリーの皮を被ったバラエティだった。

この不思議な番組を企画した牧島俊介プロデューサーは、2000年10月18日生まれの23歳。まだ入社2年目ながら、大抜擢を受けた。テレビ業界が大きな変革期を迎えている中、テレビ局は若手クリエイターに何を求めているのか、そして逆に、若手クリエイターはテレビというメディアをどのように捉えているのか。牧島プロデューサーの胸中を伺った。

牧島さんは、中学生の頃に「ゴッドタン」にハマり、お笑い好きになった。大学生になってから、ライブにも足を運ぶようになり、特に「虹の黄昏」のパフォーマンスに衝撃を受けた。その経験から、バラエティ番組の制作に興味を持ち始めた。

テレビ業界を選んだ理由について、牧島さんは「何も知らない人に届けたい」という思いがあると語る。「企画力で見てもらえるのは、今でもテレビだけだと思っている。YouTubeやライブは、既にファンでないと観ないことが多い。テレビを通じて、誰かに衝撃を与えたい」と話す。

「ナキヨメ」がプロデューサーデビューの作品となった経緯について、牧島さんは「トライアルマンデー」という、20代の社員から企画を募集するプロジェクトがあったことを明かす。今年3月に企画を提出し、採用された。会社としては、若手にチャンスを与え、成功する企画があれば良いという狙いがあったという。

視聴率よりも、TVerの再生回数が重要視されている現状について、牧島さんは「特に深夜帯の番組では、30代以下の視聴者層の獲得が重要だ。TVerは、その世代にとって見やすいプラットフォームだ」と述べる。

「ナキヨメ」は、1年目からずっと出していた企画だったという。企画書の書き方を工夫し、「怖がられている廃墟に感動できる良い話がある」という情報性を前面に出したことで、企画が通った。

制作チームについては、作家の鈴木遼さんと後藤達弥さんを起用。鈴木さんは元々好きで、大学時代のライブに招待していた関係で連絡を取り始めていた。後藤さんも学生時代からの知り合いだったため、一緒に仕事をすることを決めていた。ドラマ部分は、テレパックさんに依頼し、キャスティングも同社が手がけた。

プロデューサーとしての経験から、牧島さんは「年齢に関係なく、論理的に説得することが大切」と学んだ。「自分の感覚を言語化することが重要だ」と反省点を挙げる。

テレビの強みについては、「柴田理恵さんの起用は、テレビならではの強みだ」と語る。「柴田さんが感動して泣くというシーンは、テレビが歴史的に築き上げてきたものだ。再現ドラマを本気で撮り、柴田さんが涙を流すという展開は、テレビの技術の結晶だ」と述べる。

最後に、牧島さんは次にやってみたい企画について、「お笑いやバラエティが好きなので、芸人さんと企画段階から膝を突き合わせて番組を作りたい。学生時代にライブに出ていただいたかが屋さんと一緒にコント番組を作れたら嬉しい」と語る。そのためにも、まずは実績を積み上げ、企画を出すに値する人間になることが目標だという。

「ナキヨメ」は、2024年9月30日(月)深夜24時30分から25時まで、テレビ東京で放送される。出演者は柴田理恵、中谷(マユリカ)Carlos Yabuki。