唐田えりか、『寝ても覚めても』で見せた透明感と強さ…「自分を押し殺したくないし、正直でいたい」
2018年に公開された『寝ても覚めても』は、唐田えりかのターニングポイントとなった作品だ。この映画は彼女の運命を大きく変えたとも言える。
本作は、柴崎友香氏の同名小説が濱口竜介監督によって映画化され、第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に正式出品された。物語は、同じ顔を持つ2人の男性、麦と亮平の間で揺れ動く女性、朝子の姿を描いている。東出昌大が2役を演じ、朝子役はオーディションで唐田が射止めている。
唐田はオーディションの際、自分が出演する作品の内容を知らなかったが、濱口監督は「オーディションで‘彼女しかいない’って思った」と振り返っている。黒髪、色白、黒目がちな瞳、かすかに開いた唇——朝子は清楚を絵に描いたような女性だが、透明感よりも存在感が勝る。儚げなようでいて視線が強い。唐田を正面から捉えたショットが多いのも印象的だ。
物語では、浮世離れした恋人の麦が突然消え、その後出会ったサラリーマンの亮平と結婚の約束をするが、再び現れた麦についていって姿を消してしまう。自分の気持ちに正直で、モラルや規範を飛び越えた選択をする女性、それが朝子だ。
公開当時、朝子の人物像は観客の不興を買うことも少なくなかった。「神経を逆なでする草食世代のファムファタール」とも評されたが、唐田は「朝子がものすごく自分自身だと思えたんです。朝子の行動に対して、一つも疑問を感じませんでした」と語っている。
本格的な映画デビュー作となった本作で、唐田は大きなインパクトを残した。