『真・女神転生』誕生の日を振り返る。東京大破壊が起点となるシリーズ展開の意味と、アトラスのRPGの独自性
スーパーファミコン(SFC)用ソフト『真・女神転生』が発売されてから32年が経過した。『真・女神転生』は、アトラスから発売された3DダンジョンRPGであり、『デジタル・デビル物語 女神転生』と『デジタル・デビル物語 女神転生II』のシステムや悪魔召喚プログラムなどの概念を受け継いだシリーズである。
この作品は、ファミコンで展開した2作品から世界観や登場人物を一新したオリジナルの作品であり、まったく違う新たなシリーズとなっている。
本作は現代・東京が舞台になっており、ファミコン時代の2作品では謎の大魔宮や崩壊した近未来の世界が舞台であり、現代の東京は描かれていなかった。『女神転生』シリーズと言えば東京が大変なことというイメージも強いが、その始まりはここからである。
1999年7月のノストラダムスの大予言が大流行し、世相は不穏な雰囲気に包まれていた。当時の空気感が漂う作品であり、現代の日本から始まる設定が大きいと言える。
主人公の青年が、神と悪魔の壮大な戦いに巻き込まれる。現実の延長上にある世界だからこそ「本当にありそうな物語」として、身近に感じていた。
『真・女神転生』は、悪魔と人間の関係を描いた物語であり、東京大破壊が起点となる外伝作品もいくつか存在する。東京大破壊が起点となるシリーズ展開もあり、たとえば、『真・女神転生 デビルサマナー』の作中では、喫茶アフロにあるTVのニュースで『真・女神転生』の登場人物が逮捕されている。
『ペルソナ』シリーズにも旧作の『女神転生』や『真・女神転生』を思わせる要素があり、たとえば、『ペルソナ4』のボイドクエストでは『真・女神転生』の母親と同じセリフが流れる場面が存在する。
アトラスのRPGはゲームオーバー画面の表現に並々ならぬこだわりを持っている作品が多く、毎回どのような死後の世界を描いてくれるのかが楽しみであった。ゲームオーバーになるのではなく、そうした細かい表現にもこだわるからこそ、アトラスのゲームはいまでも独自性を保ち続けています。
本作は人間の描写や属性の描きかた、神や悪魔たちの存在を描いた物語のバランスがよい作品であり、テキスト量は少ないもののストーリーのおもしろさは負けていない。ゲーム中で歩いていると、すぐにガイア教徒などが出てくるので、よく足を止めて聴いていた。