吉沢亮主演『ぼくが生きてる、ふたつの世界』舞台挨拶、母親への感謝を語る
吉沢亮「お母ちゃんに感謝」『ぼくが生きてる、ふたつの世界』舞台挨拶で母への思いを語る
21日、都内で映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の舞台挨拶が行われ、主演の吉沢亮をはじめ、共演の忍足亜希子、今井彰人、烏丸せつこ、でんでん、そして呉美保監督が登壇した。この日、吉沢は母親への感謝の気持ちを語り、会場を感動の渦に巻き込んだ。
本作は、作家・エッセイストの五十嵐大による自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」(幻冬舎刊)を原作に、ろう者の両親に育てられた主人公・大の物語を描く。吉沢亮が主人公・大を演じ、その演技力が高く評価されている。
呉美保監督は、吉沢亮のキャスティング理由について「ファンでした(笑)」と笑いを誘いながらも、「彼の内面にあるものをもっと見たいと思った。手話や様々な要素を表現しなければならない役で、吉沢さんなら、やってくれると思った」と語った。吉沢の演技力と表現力が、この役に最適だったことを強調している。
舞台挨拶では、「今、誰かに伝えたい気持ち」をテーマに、出演者全員がフリップで回答した。9年ぶりの監督作となった呉監督は、「出会ってくれてありがとう、生まれてくれてありがとう」と、9年前に出産した長男と夫に涙ながらに感謝の言葉を述べた。キャスト陣も、仲間や観客、家族に感謝のメッセージを送り、会場は温かい雰囲気に包まれた。
吉沢は、「僕は監督とは逆で…お母ちゃんにありがとう、だなと思って。こういう映画だし…なかなか親にありがとうと言えないので、このような場を借りて。うち男4人兄弟で、メチャメチャ苦労してたと思うんですけど、ここまで立派に育ててくれた」と母親への感謝の気持ちを語った。また、出演作について「けっこう見に来てくれる」と言いつつ、「うちのマネジャーさんと連絡とってるんで、僕には情報が入らない(笑)。今も(見に来てくれて)いるかいないか分からない」と苦笑いを浮かべ、会場を和ませた。
本作では、ろう者の登場人物は全員、ろう者の俳優が演じている。吉沢の母親役を演じた忍足亜希子は、「コーダという言葉はご存じでしたか? 聞こえない親を持つ聞こえる子ども、コーダの数は全国で2万200人ほどいると言われています。まだ社会に浸透していないのが現状です」と、本作を通じてコーダの存在を広めることへの期待を述べた。
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は、ろう者の両親に育てられた主人公の成長と、聴こえる世界と聴こえない世界を行き来する姿を描き、観客に深い感動をもたらしている。吉沢亮の演技と、出演者全員の熱演が、この作品をより一層魅力的なものにしている。