「科捜研の女」視聴率低迷:その背景と沢口靖子の新たな挑戦

「科捜研の女」視聴率低迷:その背景と沢口靖子の新たな挑戦

沢口靖子主演「科捜研の女 season24」視聴率低迷の背景

1999年にスタートした「科捜研の女」は、沢口靖子(59)が法医研究員・榊マリコを演じ、科学的な検証を通じて事件を解き明かす一話完結型のミステリードラマとして、長年視聴者に愛されてきました。しかし、最新シリーズ「科捜研の女 season24」の視聴率がシリーズ史上最低を記録し、その原因が注目を集めています。

視聴率の低迷

最新シリーズは7月3日から始まり、初回の視聴率は7.8%。これは昨年放送されたseason23の最低視聴率8.3%を下回る数字です。民放プロデューサーは次のように語ります。

「普通のドラマであれば決して悪い数字ではありませんが、かつては『転んでも10%』と言われたキラーコンテンツ。結局、今月4日放送分までの9話の平均視聴率は7.1%で、これまでの最低だった前シーズンと前々シーズンの9.0%に達するには、最終回で26.1%が必要でした。『ドクターX』に差し替えても無理な数字です。」

リニューアルの影響

視聴率低迷の要因の一つとして、2年前の大々的なリニューアルが挙げられます。演出がスタイリッシュになり、今風の動くテロップが頻繁に登場し、セットも一新されました。これにより、ドラマは妙に近代的で無機質な印象を与えています。

「沢口さんの『お姫様演技』や棒読みが気にならないくらい、ほのぼのした雰囲気に慣れていたもともとの視聴者にとっては、違和感しかないでしょう」と、プロデューサーは指摘します。

放送時間の変更

また、放送時間の変更も視聴率に影響を与えています。長らく木曜20時台の枠だった「科捜研」は、2年前のリニューアル時に火曜21時、昨年からは水曜21時に変更されました。特に、習慣に重きを置く年配向けのドラマにとって、このような頻繁な時間変更は痛手となりました。

「新規ファンの獲得はおろか、肝心のオールドファンさえ逃してしまった」と、プロデューサーは述べています。

沢口靖子の今後

「科捜研の女」は「笑点」や「NHKのど自慢」「徹子の部屋」と同列に語れるほどのご長寿番組です。古くから同ドラマをウォッチしてきたコラムニストの吉田潮氏は次のように語ります。

「とっても面白いというわけではないけど、つい愛でてしまう感じです。個人的には、いつまでたっても発展しないマリコと土門刑事(内藤剛志)との、ほのかな敬意と愛が垣間見えるやりとりや、働き過ぎるマリコが、周囲を巻き込みながら事件を解決していくブラックな職場のジレンマを楽しんでいました。」

しかし、視聴者からは「沢口さんは年齢不詳のマリコと同一視されています。そろそろマリコを脱却してもいい頃かもしれません」との声も上がっています。吉田氏は、沢口靖子の今後の役柄について次のように提案しています。

「沢口さんは2012年に『シングルマザーズ』(NHK)というドラマで、DV夫から逃げる妻の役を演じましたが、これが意外にもハマっていました。実際には独身である沢口さんが、例えば、秘められた過去を持つ、美人で謎めいた単身団地住まいのおばさんなど、還暦を越えてからできる役柄に挑戦するのも観てみたいですね。」

「科捜研の女」の視聴率低迷は、ドラマの内容や放送時間の変更、視聴者の嗜好の変化など、複合的な要因が絡み合っていると言えます。今後、どのように対策を講じ、視聴者を取り戻すかが、ドラマの存続を左右する重要な課題となるでしょう。