カルフォルニア州、オンラインコンテンツのアクセス権を明示する新法制定:消費者保護の新たな一歩

カルフォルニア州、オンラインコンテンツのアクセス権を明示する新法制定:消費者保護の新たな一歩

オンラインコンテンツの「購入」表記禁止法案、米国カルフォルニア州で制定

近年、オンライン販売が急速に増加しており、ユーザーにコンテンツへのアクセス権を付与する形態が一般的となっています。しかし、この形態では、コンテンツ自体が物理的に所有されず、恒久的かつオフラインでの使用が不可能な場合が多々あります。これに対応するため、米国カルフォルニア州では、アクセス権売買であることを明示し、恒久的かつオフラインでの使用が不可能なコンテンツに対し「購入」表記を禁止する法案が制定されました。この法案は、2025年から施行される予定で、消費者保護を目的としています。

「消えるコンテンツ」問題の背景

従来、本やパッケージ版のゲームソフトなどは、単体または関連機器さえあれば、半永久的に所有権が発生し、任意のタイミングでコンテンツにアクセスすることが可能でした。しかし、近年では、コンテンツそのものではなく、アクセス権を付与する形でのオンライン販売が増加しています。このような形態も一般的には「購入」と表記・解釈されていましたが、実際にはユーザーがコンテンツを恒久的に所有しているわけではなく、サービス提供者の都合によりアクセス権が削除される可能性があります。

過去の問題と集団提訴

過去には、サービス終了やライセンス関連による配信停止など、サービス提供者の都合によりアクセス権が削除される事例が度々報告されてきました。これらの問題は、ユーザーが「購入」したコンテンツが突然利用できなくなるという事態を引き起こし、消費者の不満が高まっています。2021年には、Appleを対象とした集団提訴が発生しました。提訴の理由は、「実質的には‘レンタル’であるにも関わらず‘購入’と表記するのは欺瞞的である」というものでした。

ゲーマーの視点

ゲーマーにとって、サーバー不調によるオンライン認証の失敗は、手元にコンテンツがあるのに遊べないという不快な経験をもたらします。また、サービス事業者の都合により、手元のライブラリ内のソフトが一切遊べなくなることは、数百・数千のタイトルを抱えるゲーマーにとっては悲劇としか言えません。これらの問題は、オンライン専用タイトルの扱いやコピーガードとの兼ね合いなど、多岐にわたる課題を抱えています。

今後の展望

2025年からの施行に向け、サービス事業者がどのような対応をとるかに注目が集まっています。この法案は、消費者がコンテンツの所有権とアクセス権の違いを明確に理解し、適切な選択をできるようにすることを目的としています。サービス事業者には、透明性の高い情報提供と、ユーザーの権利を尊重した対応が求められます。

オンラインコンテンツの「購入」表記禁止法案の施行は、消費者保護の一環として重要なステップとなるでしょう。今後、他の州や国でも同様の動きが見られる可能性があり、オンラインコンテンツの販売形態がより透明で公正なものになることが期待されます。