過激な実写映画の魅力:PG12指定で描かれる衝撃のシーン

過激な実写映画の魅力:PG12指定で描かれる衝撃のシーン

過激でもPG12にとどまった実写作品たち

毎年、多くのマンガが実写化され、映画として公開されています。その中には、原作がかなり過激な作品もあり、映画倫理機構(通称:映倫)から「R指定」を受ける場合もあれば、ギリギリの見せ方で「PG12指定(小学生の観覧には、親または保護者の助言、指導が必要)」にとどまったケースもあります。子供でも観られる作品でありながら、大人でも面食らう場面が含まれており、注意が必要な作品も少なくありません。

『地獄少女』

2005年から2017年にかけて4期まで放送され、岩田さゆりさん主演で2006年にドラマ化もされた人気アニメ『地獄少女』は、2019年に玉城ティナさんを主演に迎えて実写映画化されました。この作品は、深夜0時に現れるサイト「地獄通信」に晴らせない恨みを書くと、「地獄少女」こと「閻魔あい」と彼女に付き従う「三藁」たちによってその相手が地獄に落とされるという設定の物語です。

実写版は、2024年8月公開のホラー映画『サユリ』(原作:押切蓮介)も話題の白石晃士監督が手掛けており、PG12ながらグロテスクなシーンが多く含まれています。物語序盤、ライブ中に男に襲われたアイドルの「御厨早苗」(大場美奈)は「地獄通信」に犯人の名前を書き込み、その男をあいたちが地獄に落とします。犯人は「斬首の刑」に処され、三藁のひとりである「一目連」(楽駆)によって刀で首をはねられます。その際、首がボトッと落ちる描写や、切断された後の首の断面が映し出されるという過激なシーンが展開されます。

そのほか、女性が自らナイフで首を切り、血が吹き出て死亡するシーンや、呪いによって植物のようなものが体を突き破って生えてくるシーンなども描かれています。このようなショッキングな描写にもかかわらず、「実写だけに原作よりもホラーやグロテスクな描写が多く、満足度高め」「『人を呪わば穴二つ』を的確に表した怨み恨まれる胸糞ドラマで好き」「玉城ティナさんの閻魔あいは、一遍死んでもいいと思わせるハマり役」といった声があがっており、作品は高く評価されています。

『ふたりエッチ』

1997年から「ヤングアニマル」で連載が始まったマンガ『ふたりエッチ』(作:克・亜紀)は、2000年のTVドラマ以降、何度か実写化されており、実写映画化もされた作品です。2012年までに森下悠里さん主演で映画が4作制作され、2019年には青山ひかるさん主演で再度実写映画化されました。

本作は、お互いに経験がないままお見合い結婚した夫婦の「小野田真」と「小野田優良」が、本当の夫婦になるためステップアップを目指す物語です。作者が「これはただのHマンガではありません」と語っている原作同様、ただ過激なだけではなく、性生活を充実させるために、お互いがさまざまな努力をするシーンが本作の見どころでした。普通ならR指定になって当然の題材ながら、行為の場面はギリギリの見せ方でPG12にとどまっています(2019年版は特に指定なし)。とはいえ2011年版は、スタイル抜群の優良を演じる森下さんの胸があらわになるシーンや、真を艶かしいランジェリー姿で誘惑するシーンも盛り込まれていました。

人気グラビアアイドルの森下さんが演じた優良は、ネット上で「色気があって魅了された」「スタイルが良くて理想の奥さん」との声が出るなど、彼女の魅力の虜になった人も多かったようです。あくまでも微笑ましい夫婦の純愛ラブストーリーとして、観られる作品です。

『秘密 THE TOP SECRET』

死者の脳の記憶を映像化し、事件の真相解明に奮闘する警察の姿を描いた『秘密 THE TOP SECRET』は、清水玲子先生のマンガ『秘密 -トップ・シークレット-』が原作の映画です。本作もPG12指定ながら、グロテスクなシーンが多く含まれています。

題材が題材だけに、死体が映る場面は避けられません。また、死者を解剖して脳にさまざまなプラグを接続する際には、頭を切開して皮を剥ぎ、頭蓋骨を割って脳を取り出すという描写もあり、解剖シーンなどが苦手な人には注意が必要です。さらに、殺傷シーンもかなり血みどろで、石で人を殴り殺す場面では派手な血しぶきも飛んでいました。

生田斗真さん、岡田将生さん、松坂桃李さんら豪華キャスト目当てで観た人も多かったようで、観客から「メジャーキャストで油断してたけど思ってた以上にグロい」「設定は面白いけど目を瞑ってしまうシーンがいくつかあった」と、刺激の強い描写に対する意見も出ています。また、作品の内容に関しては「近未来的な要素が多くて面白かった」「脳を見るという設定が通常のサスペンス映画とは別物に仕上がっている映画で良かった」と高い評価を得ているようです。

これらの作品は、過激な内容を含みつつも、PG12指定にとどまることで、より多くの観客に届けられています。それぞれの作品が持つ独特の魅力と、その表現方法が、観客の心を捉え、高い評価を得ている理由と言えるでしょう。