「虎に翼」最終回:視聴者に深い感動と未来への希望を残す
「虎に翼」最終回とその影響
「虎に翼」は、NHKの連続テレビ小説として2022年10月から2023年3月まで放送され、最終回が9月27日に放送されました。最終回では、誰もいない裁判所で法服姿の寅子(伊藤沙莉)が「さよーならまたいつか!」と笑いながら幕を閉じました。このシーンは、視聴者たちに深い印象を残し、SNS上では「虎に翼ありがとう」「半年間おもしろかった」「すごく好きなドラマだった」「数年ぶりにハマった」といった感動の声が相次ぎました。
視聴者の反応
視聴者たちは、ドラマが終わった後も寂しさを感じつつも、寅子の存在が心の中に残っているという安心感を抱いています。多くの人が、寅子の姿が心の中にいつでも存在し、支えてくれる存在として感じているようです。また、ドラマの最終回は、視聴者たちの背中を支え続けるような仕上がりだったと評価されています。
ドラマの背景とストーリー
「虎に翼」は、第40回向田邦子賞を受賞したNHKよるドラ「恋せぬふたり」の吉田恵里香が手がけたオリジナルストーリーです。主人公の猪爪寅子(伊藤沙莉)は、日本初の女性弁護士の1人で後に裁判官となった三淵嘉子さんをモデルにしています。ドラマは、困難な時代に道なき道を切り開いてきた法曹たちの情熱あふれる姿を半年間にわたって描いてきました。
主要キャスト
- 猪爪寅子(伊藤沙莉)
- 星航一(岡田将生)
- 猪爪はる(石田ゆり子)
- 猪爪言(岡部たかし)
- 猪爪直道(上川周作)
- 花江(森田望智)
- 優三(仲野太賀)
- 桂場(松山ケンイチ)
- 穂高(小林薫)
- 山田よね(土居志央梨)
- 桜川涼子(桜井ユキ)
- 大庭梅子(平岩紙)
- 崔香淑(ハ・ヨンス)
- 玉(羽瀬川なぎ)
- 花岡悟(岩田剛典)
- 轟太一(戸塚純貴)
最終回の展開
最終回は、朝から元気に体操する寅子の姿で幕を開けました。しかし、娘・優未(川床明日香)が写真に話しかける様子と尾野真千子による語りで、寅子が「イマジナリー寅子」であることが明らかになりました。この意外な展開は、視聴者たちに深い感動を与えました。
視聴者の反応
多くの視聴者が、「初めて朝ドラを完走した」「朝ドラとは縁のなかった自分が時間をつくって見た」「めちゃくちゃハマって大好きな朝ドラになった」という声を上げています。確かに、「虎に翼」は始まりから少し違っていたと感じている人も多いでしょう。子役による幼少期を飛ばし、第1週から早々に寅子は「よき妻よき母」になるための見合いを断り、法律の道、母・はるがいう「地獄」へと道を踏み出そうとしていました。
ドラマの特徴
ドラマは、社会的信頼を得るために結婚したり、キャリア過渡期での妊娠を真正面から描いたり、生理が重くて寝込んだり、更年期特有の症状に悩まされたりといった主人公のリアルな姿を描いてきました。特に、寅子が梅子に「あらあら、こちら側へようこそ~」と笑顔で言われたとき、視聴者の心が軽くなったという声も寄せられています。
重要な登場人物
ドラマの中で、寅子が早々に見切りをつけた専業主婦業をまっとうした花江(森田望智)の存在も最後まで描かれました。また、中学生の優未(毎田暖乃)が認知症の進む航一の義母・百合(余貴美子)のヤングケアラーになりかけていたことも印象的です。
山田轟法律事務所
離婚した梅子が最初に身を寄せたのは、よねと轟がカフェー「燈台」跡に設立した「山田轟法律事務所」でした。ここは、原爆裁判や民族差別、LGBTQ+、同性婚、夫婦別姓から、おぞましい虐待と尊属殺人に至るまで、「虎に翼」が果敢に挑んだテーマの主な舞台の1つとなりました。誰もが自尊心を削られることなく弱音を吐き出せる、まさに光の道しるべとなるような場所でした。
事務所のモットー
事務所の壁には、「虎に翼」を貫く大きなテーマでありモットーといえる憲法第14条1項「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」が手書きで綴られています。これを万感の思いで書いたのは、他ならぬよねでした。
キャラクターの成長
よねは、寅子や轟、女子部の面々と関わるにつれ、堅い殻がどんどん破れて愛おしさが増し、応援したくなるキャラクターとなりました。バンカラを鎧のように纏いながら不器用で情に厚い轟に対しては、「#俺たちの轟」というハッシュタグも生まれたほど。主人公の近くにいる名前のある登場人物で、同性の恋人がいたのも朝ドラ初でした。
キャストの活躍
よねを演じた土居志央梨は一躍時の人となり、10月クールのドラマ「無能の鷹」ではオレンジヘアのエンジニア役という大転換を見せました。戸塚純貴も7月期の「青島くんはいじわる」にレギュラー出演し、トラつばキャストが大勢出演した「新宿野戦病院」にも参加するなど、改めて注目を集めました。
最終回のメッセージ
最終回では、男女雇用機会均等法施行を伝える1999(平成11)年のニュースを1人で見つめていた優未が、笹竹へ出かけ、御茶ノ水の聖橋で美佐江と美雪(片岡凛)にそっくりな、突然の解雇について「PHS」で会話する女性に思わず声をかける姿がありました。第1話にも登場した橋の上では、戦後と同じように重い荷物を運ぶ年配の女性や、楽器を抱えた若い女性が呆然と佇んでおり、第1話の光景と重なりました。
母娘の再会
あのときは何の術も持たずにいた寅子に代わって、「自分の中に母を感じた」優未が彼女をすくい上げようとする姿は美しかった。その傍らにもイマジナリー寅子がいたが、彼女と会話できるのは老いた航一だけ。航一の前で見せた得意気で幸せそうな笑顔から懐古するのが、第1週と変わらぬ場所で団子を食べようとする桂場に寅子が「はて?」と問いかけた129話の場面だ。
未来へのメッセージ
地獄に進んで分け入り、たくさんの血を流してきた寅子たちは決して特別な存在じゃない。「はて? いつだって私のような女はごまんといますよ。ただ時代がそれを許さず、特別にしただけです」と言い返す寅子の背後には、よねや涼子らの顔がある。未来の人たちのためならば、自ら進んで「雨垂れになる」という者たちだ。
そして第1週からの答えのように、「娘の口を塞ごうとしないで」とものすごい剣幕で桂場に意見した場所と同じところから、まさかの「イマジナリーはる」が登場してくる。「どう?地獄の道は」「最高です」そう言って笑い合い泣き合う母娘に、はるも寅子の心の中にいつでもいたのだと思いを馳せる。
心の中の支え
それは久藤頼安(沢村一樹)が「頭の中のタッキー(多岐川:滝藤賢一)」に叱ってもらうことで心を落ち着けたり、涼子が「心のよねさん」と共にあるように。たぶん花江には、イマジナリー直道がずっと寄り添っていただろう。
心の中の彼らと一緒なら、以前は飲み込んでいた理不尽さに勇気を出して「はて?」と声を上げられるかもしれない。もし実際に声は上げられなくても、「はて?」と生まれた疑問こそ大切なもの。その1つ1つが、やがては自分自身、あるいは誰かにとっての石を穿つ雨垂れになる。
結論
「虎に翼」が私たちに残してくれたのは、ささやかだが、とてつもなく大きなものだった。ドラマは、視聴者たちの心に深い影響を与え、未来への希望と勇気を与えるものとなりました。