ランド・ノリス、シンガポールGPで圧勝!マックス・フェルスタッペンを20秒以上引き離し、今季3勝目
ランド・ノリス、シンガポールGPで圧倒的勝利
2024年F1第18戦シンガポールGPは、ランド・ノリス(マクラーレン)が2位のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に20.945秒の大差をつけて、今季3勝目/キャリア3勝目を飾りました。マリーナベイ市街地サーキットで行われたこのレースは、ノリスの圧倒的な強さが際立っていました。
ノリスの走りと戦略
ノリスはレース序盤から他のドライバーを圧倒する走りを見せ、2位のフェルスタッペンとの差を着実に広げていきました。レース中盤には2度ウォールにタッチする危険なシーンもありましたが、ノリスは攻めた走りを続けました。これは、ドライバーズランキングでフェルスタッペンを追うノリスにとって、ファステストラップで得られる1点も非常に重要だったためです。
レース中盤からノリスはプッシュし続け、2番手のフェルスタッペンとのギャップをピットロスを補える28~29秒まで広げました。レース最終盤にはタイヤを交換してアタックを仕掛け、2位のフェルスタッペンとの差をさらに広げました。タイヤのマネジメントとレースペースの両面で優れたノリスの走りは、まさに「横綱相撲」のようでした。
フェルスタッペンの健闘
一方、2位に入ったフェルスタッペンの走りも素晴らしいものでした。レッドブルのマシンポテンシャルを最大限に引き出し、ノリスに大差をつけられながらも2位を守り切りました。もし、フェラーリが予選Q3で揃って沈むことなく決勝を迎えることができていれば、フェルスタッペンの2位も危うかったかもしれません。
マリーナベイ市街地サーキットの特徴
シンガポールGPの舞台となったマリーナベイ市街地サーキットは、ドライバーにとって非常に厳しいコースです。普段は公道のため路面がバンピーで、呼吸を整えられるような場所がありません。ホームストレートも短く、ウォールに囲まれているため、1ミスですべてが終わる緊張感が常にあります。さらに、ナイトレースとはいえ、熱帯気候のシンガポールでの9月の開催は暑さに起因する熱中症のリスクも高まります。
今年のシンガポールGPでは、セーフティカー(SC)やバーチャル・セーフティカー(VSC)が出ませんでした。これにより、レース中は一度も休める場面がなく、ドライバーは肉体的にも精神的にも追い込まれました。レース終了後、複数のドライバーが熱中症のような症状に見舞われました。
ダニエル・リカルドのRB離脱
シンガポールGP明けの9月26日、ダニエル・リカルドがRBを離脱し、今季残る6レースはリアム・ローソンがRBで走ることが発表されました。リカルドは14シーズン、258戦(257スタート)を戦ってきたベテランドライバーで、かつてはキレッキレの走りが魅力的なドライバーでした。ブレーキの使い方、クルマの向きの変え方、タイヤの限界まで使う能力、セットアップの作り方など、F1ドライバーとして求められる能力をしっかりと持っていました。
しかし、年々F1マシンのトレンドが変わる中、リカルドはドライビング面での対応に時間がかかった印象です。特に、2016年にレッドブルに昇格したマックス・フェルスタッペンの存在が、リカルドの自信を打ち砕く要因となりました。フェルスタッペンのスピードは、リカルドの自信をことごとく砕くものでした。
モータースポーツはメンタルが大きく左右するスポーツであり、一度メンタルが壊されると、同じ状況、同じレベルまで持ち直すことは困難です。リカルドはルノーやマクラーレンに移籍しても、全盛期の自分に戻ることはできませんでした。F1マシンのトレンドの変化に合わせられなかったことも、今回の離脱に繋がったと考えられます。
若手ドライバーの台頭
リカルドの離脱により、次戦アメリカGPからはローソンがステアリングを握ります。若いドライバーが時間を要することなくF1に順応できることが証明されてきており、今のF1のトレンドとなっています。F1関係者もベテランドライバーの良さを理解しつつも、若手の伸び代などを考えて「若手の起用を1年早めてもいいのではないか」と感じられるようになっています。
中野信治氏の視点
元F1ドライバーでホンダの若手ドライバー育成を担当する中野信治氏は、ノリスの走りについて「横綱相撲」と評価しています。ノリスの走りは、タイヤのマネジメントとレースペースの両面で優れており、レース中盤からのプッシュが勝利に繋がったと分析しています。また、リカルドの離脱については、F1マシンのトレンドの変化に合わせられなかったことが大きな要因だと指摘しています。
まとめ
シンガポールGPは、ランド・ノリスの圧倒的な強さが際立ったレースとなりました。ノリスの走りは、タイヤのマネジメントとレースペースの両面で優れており、2位のマックス・フェルスタッペンとの差を着実に広げました。一方、2位のフェルスタッペンの走りも素晴らしいものでした。マリーナベイ市街地サーキットは、ドライバーにとって非常に厳しいコースで、レース中は一度も休める場面がありませんでした。ダニエル・リカルドのRB離脱は、F1マシンのトレンドの変化に合わせられなかったことが大きな要因であり、若手ドライバーの台頭がF1の新たなトレンドとなっています。