井上直樹、RIIZINバンタム級王座獲得!キム・スーチョルとの戦いを制し新王者に

井上直樹、RIIZINバンタム級王座獲得!キム・スーチョルとの戦いを制し新王者に

井上直樹、RIZINバンタム級王座戴冠

29日、さいたまスーパーアリーナで開催された「RIZIN.48」で、RIZINバンタム級王座決定戦が行われ、井上直樹(28)=Kill Cliff FC=が対戦相手のキム・スーチョル(32)=韓国=に1回3分55秒、TKO勝ちを収め、王座を獲得した。

試合は井上が積極的にジャブを突き、左ジャブからの右ストレートでキムのアゴを打ち抜き、大ダメージを与えた。井上は「一回チョークを狙おうと思ったけど、しっかりディフェンスしてたんで、まだ生きてるなと思ってパウンドに切り替えました」と、サイドバックからパンチを連打し、レフェリーストップを呼び込んだ。

試合後、井上は「いつもの試合よりうれしいなという気持ちがあります。リング内でもコーチの方々がすごい喜んでくれてたんで、それも含めてチャンピオンになったんだといううれしい気持ちがこみ上げてきて」と笑顔で語った。ベルトについては「重いなと思いました。重みがあるなという感じですね。これを持ったからといって、RIZINでトップの選手という証明にはなると思うけど、まだまだ強い選手はたくさんいるので、ここからレベルアップしていかないといけないと思うし、しっかり防衛して海外の選手ともたくさんやっていければと思います」と、謙虚な姿勢を示した。

試合展開については「うまくはまったなという感じでした。来るだろうなというのは分かってたんで(パンチを)アゴに合わせる練習をずっとしてきました。水垣(偉弥)さんを使いました(笑い)。(仮想キムに)なってくれました。アゴが壊れそうなくらいやっちゃいました」と、試合前の準備が奏功したことを明かした。さらに、「ジャブは目の辺りを狙っていて、顔の中で打ち分ける練習もしていて、ジャブを打って目が見えなくなってきたところでしっかりフックも狙うイメージでした。テンプルとかはあまり狙わずにしっかり目とか鼻を狙って、来たところにしっかりフックをアゴに合わせる」と、緻密な戦略を語った。

グラウンド戦についても「全然考えていて、判定まで行くつもりで組み立てていますし、その中ではまった。決めたというか、決まり手があったから、そういうふうになった」と、試合の流れが予定通りに進んだことを強調した。

今後の展望については「ちょっと目が腫れてるくらいなんで全然試合もできると思いますし、大みそかの舞台、去年は出られなかったんですけど、出られたらいいなと思います。相手がいたらですけど」と大みそか参戦を熱望。「元谷(友貴)選手と再戦するのもいいと思いますし、他にも強い選手はたくさんいると思うので、ここからスタートだなという感じですね」と、さらなる挑戦への意欲を示した。

キム・スーチョルの試合後コメント

一方、敗れたキム・スーチョルは試合後、笑顔で井上をたたえ、「妻と子供に申し訳ない気持ちでいっぱい。また借りができてしまった。チームの皆にも面目ない」と穏やかに語った。

記者会見では「井上選手は強かったなというのが率直な思い。とても速い選手だと思った。ジャブをチェックしようと思ったが、なかなかできなかった。スピードをつぶそうと思ったが、思うような試合運びにならなかった。左右を塞いで接近してグラウンドに入ろうと考えていたが、ジャブで放された。井上選手は備えがしっかりできていた。今回は井上選手に学ぶ点が多かった」と、試合を振り返った。

最後に体がロープの外に出かけたことについては「われながらセコいというか、何とか生き延びたい、助かりたいという気持ちがそれに繋がったんだと思う。悪あがきでしょうか」と、率直な思いを語った。

「人生は先がどうなるか分からないものだと思う。こんな辛い日もあれば、いろいろな日もある。皆さんの前では笑顔でいるけど、家では100パーセント泣くと思う。つらいことには1人で打ち勝つのが自分だと持っている」と、しみじみと語った。

今後については「常に抱いてる目標は第一に家族を守ること、第二に健康を守ること、第三にお金をたくさん稼ぐこと」としつつ、10月27日に予定されている韓国・ROAD FCでの次戦に向けて「私はまだまだあきらめたり投げ出したりする時期ではない。ここから気合を入れ直して頑張る」と、再起を誓っていた。

この試合は、井上の戦略的勝利とキムの敗北の両面から、格闘技の世界の厳しさと魅力を改めて浮き彫りにした。井上がRIZINの新たな王者として、さらなる活躍を期待される一方で、キムも再起に向けて意気込みを新たにしている。両選手の今後の活躍に注目が集まる。