ソフトバンク新星・前田純、プロ初登板初勝利で日本ハムを下す
ソフトバンクの新戦力、前田純がプロ初登板初勝利
2024年9月29日、エスコンフィールドで行われたパ・リーグの試合で、ソフトバンクが日本ハムを6-2で下し、勝利を収めた。この試合で注目を集めたのは、2年目の左腕・前田純投手(24)の活躍だ。前田は6回3安打無失点の完璧な投球で、プロ初登板初勝利を挙げた。この勝利により、ソフトバンクは日本ハムとの連敗を7で止めた。
最高のデビュー
試合後、ヒーローインタビューに立った前田は、「これだけ観客がいる中で初めて投げたんですけど、“気持ちいいな”と思いながら、自分が主役だと思って投げました」と胸を張った。6回3安打無失点、無四球、5奪三振という完璧な内容で、観客を魅了した。
努力の結晶
前田のプロ入りは2022年の育成ドラフト10位での指名だった。中部商時代はベンチ入りすらかなわなかったが、日本文理大学を経てプロの世界に足を踏み入れた。1年目は3、4軍の非公式戦で11勝を挙げ、2年目の今季は自主トレでレジェンド左腕・和田に弟子入りした。和田から下半身を意識して体幹で投げる重要性を教わり、投球フォームを改善した。「腕が遅れてついてくるみたいな感じになった。打者に対して(球速以上に)速く見せられるようになった」と前田は語る。
7月末には念願の支配下選手に昇格し、2軍で10勝4敗、防御率1.95の好成績を残した。直球の最速は143キロながら、抜群の伸びとチェンジアップ、カーブの緩急を使って、日本ハムの打線を手玉に取った。小久保監督も「十分すぎる投球だったと思います。腕の振りとチェンジアップじゃないですかね」と満足げに語った。
決め球の変化球
立ち上がりも1死から松本剛に右前打を許したものの、マルティネス、レイエスに対して決め球の変化球で空を切らせ、堂々の投球でCSの戦力としても急浮上してきた。前田の座右の銘は「不撓不屈(ふとうふくつ)」。中部商では3年間ベンチ入りすら果たせなかったが、諦めずに努力を重ねた。日本文理大学ではソフトバンクOBでもある吉川輝昭投手コーチとの出会いが転機となった。「(1メートル89の)身長を生かした、角度をつけた投げ方を意識するようになった」と前田は振り返る。アドバイスを受け、上から叩くフォームをつくり上げ、球の力強さが増した。大学3年春に念願のベンチ入りを果たし、22年育成ドラフト10位でプロの門をくぐった。
歴史に名を刻む
育成ドラフト出身投手のプロ初登板初勝利は6月9日巨人戦の佐藤(オ)に次いで6人目。育成10位の白星は、20年育成7位で入団し22年4月2日阪神戦でプロ初勝利を挙げた戸田(巨)を抜く最も低い指名順位となった。ドラフトで指名され1勝以上した投手の中で最も指名順位が低いのは大木勝年(ヤ)の70年16位。早大から入団し、プロ1年目から登板し、通算成績は20試合1勝0敗、防御率4.15だった。
未来への決意
背番号51を背負う左腕は、「ホークスのエースと呼ばれる投手になれるように頑張ります」と力強く誓った。前田純のサクセスストーリーは、ここからさらに続くことだろう。
前田純のプロフィール
- 生年月日: 2000年6月4日(平成12年)
- 出身地: 沖縄県
- 年齢: 24歳
- 身長: 1メートル89
- 体重: 85キロ
- 投打: 左投げ左打ち
- 経歴: 建設会社勤務の父親の影響でシンガポールで生まれ、3歳から小学3年まで千葉県浦安市、小学4年から沖縄市で育つ。高原小で競技を始める。中部商を経て日本文理大学から22年育成ドラフト10位でソフトバンク入団。
- 家族: 兄は社会人・日本通運の右腕・前田敬太。
前田純の活躍は、ソフトバンクの日本一への道のりに新たな光明をもたらすものとなった。今後の活躍に注目が集まる。