『DEATH TAKES A HOLIDAY』: ミュージカル初演とその感動の舞台裏

『DEATH TAKES A HOLIDAY』: ミュージカル初演とその感動の舞台裏

9月27日、ミュージカル『DEATH TAKES A HOLIDAY』の初日開幕に先駆けてゲネプロが行われた。ゲネプロでは、まず第一次世界大戦の映像から始まり、一転してイタリア北部の山道を豪華な車で走るランベルティ公爵一家が登場。最初のナンバー「人生の途中では」で観客の心をしっかりと掴んだ。モーリー・イェストン作曲の音楽は、ダイナミックで華やかで、タイタニックの冒頭を思い出させる高揚感があった。

音楽に乗った車の疾走感や、カーブでの車の分解と再構成など、演出も非常に面白い。車がスピンし、ヒロインのグラツィアが投げ出される場面では、観客の興奮が高まった。一家は大事故に動転するが、グラツィアは無傷。屋敷に戻ってから、何かが起こり、何かが変わったことが明らかになる。深夜、死神がランベルティ公爵のところに現れ、二日間の休暇をこの屋敷で過ごすと宣言。侯爵と召使いのフィデレは震え上がった。翌日、死神はロシア貴族ニコライ・サーキの姿を借りて現れ、グラツィアは車の事故を起こしたコラードとの婚約を破棄し、サーキとの恋に落ちていく。

この作品はコメディとファンタジー、ロマンスが入り混じり、登場人物それぞれのキャラクターがユニークで、それぞれの人生模様が見えるのが素晴らしい。主演の小瀧望は、死神/サーキという謎めいた存在を説得力たっぷりに演じ切り、物語をしっかりと引っ張っている。ダンスやタップ、力強い歌唱が見事で、生きるとは何かを死神が探り、生と愛の喜びを感じていく様子は心を動かした。

グラツィアを演じた山下リオは、美しいソプラノを駆使し、好奇心旺盛で溌剌としたヒロイン像で魅了。小瀧とのデュエットが印象的だった。音楽がイェストン節たっぷりで、セットや衣裳の豪華さ、派手なショーシーンなど、ミュージカルの醍醐味をたっぷりと味わえる。同時に、生とは?死とは?と考えさせられる深いテーマが詰まっている。

小瀧は、過去一でいっぱいいっぱいだと語り、ファンタジーで魅力がたくさん詰め込まれているミュージカルだと述べた。歌詞が難しく、繰り返しが多いが、美しくて物語にぴったりの楽曲だと強調。最後まで走り切るのは大変だが、大きな達成感を得られると確信していると語った。

山下は、10年ぶりのミュージカルで、最初は苦戦したが、映像と同じくお芝居や人間の心のやり取りが大事だと気づいたと語った。小瀧を支える余裕がない状況だが、このチームと一緒に楽しく駆け抜けられることを願っていると述べた。

美園さくらは、宝塚歌劇団を退団して3年ぶりの舞台で、緊張が抜けない状況だと語った。女性だけの集団から生身の男性がいることに加え、様々なバックボーンを持つ女性たちと一緒に演技できたことが大きな糧になったと述べた。山下リオとのダブルキャストの経験もありがたいと語り、小瀧の支えに安心感を感じていると述べた。

生田大和は、昨年宝塚歌劇団月組で上演した作品で、本質的な部分では大きな違いがないと語った。この物語が持つエンターテイメント性、ファンタジー性、ラブコメディ的な要素、そして最終的に人生の素晴らしさにたどり着くメッセージに焦点を当て、役者それぞれが持つ人間性を深めていったと述べた。演出面では、サーキがこのお屋敷の各部屋で様々な人生の要素を学ぶところに重点を置いたと語った。

小瀧は、タップが初めてで、7月上旬から始まったと語った。稽古初日に絶望したが、先生の助けを借りながら頑張ったと述べた。生田は、小瀧のタップが想像以上に上手くなり、良いシーンになったと語った。

最後に、小瀧は、個性的な魅力あふれるキャラクターがたくさん出てきて、聴いて、目で観て楽しめる作品だと語り、セットや衣裳の豪華さを強調。細部まで見て楽しんでいただきたいと締めくくった。