10月の映画とドラマ:劇場公開作品と話題の配信ドラマの総まとめ
10月は『シビル・ウォー アメリカ最後の日』や『憐れみの3章』、『ぼくのお日さま』など、話題作が目白押しの月だ。Netflix、Prime Video、ディズニープラスやU-NEXT、AppleTV+で配信中のエミー賞受賞ドラマ、劇場公開中の映画など、10月にチェックするべき作品をピックアップした。
10月に観るべき劇場で公開中の映画:
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』 A24製作のディストピアアクション映画。西部勢力と政府軍が対立し、国を二分する内戦が勃発した現代アメリカでは、各地で武力衝突が続き、首都は陥落寸前だった。大統領にインタビューを試みるため、キルスティン・ダンストら4人のジャーナリストは、決死の覚悟でNYからワシントンへと向かう。10月4日(金)からTOHO シネマズ 日比谷ほか全国公開。
『憐れみの3章』 『女王陛下のお気に入り』、『哀れなるものたち』の監督ヨルゴス・ランティモスがエマ・ストーンと再びタッグを組んだ作品。自分の人生を取り戻そうと格闘する選択肢を奪われた男、海難事故で失踪した妻が、帰還後別人になっていた夫、卓越した宗教指導者になるべく運命付けられた特別な人物を懸命に探す女……という奇想天外な3つのアンソロジー。TOHO シネマズ 日比谷などで公開中。
『ぼくのお日さま』 『僕はイエス様が嫌い』で第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞を受賞した奥山大史が監督・脚本・撮影・編集を手がけ、池松壮亮を主演に迎えて撮りあげた商業映画デビュー作。第77回 カンヌ国際映画祭 オフィシャルセレクション「ある視点」部門に日本人監督としては史上最年少で選出された。ホッケーが苦手な少年タクヤは、フィギュアスケートを練習する少女さくらに心を奪われる。さくらのコーチを務める元フィギュアスケート選手の荒川は、タクヤにフィギュア用のスケート靴を貸して練習につきあうことに。やがて荒川の提案で、タクヤとさくらはペアでアイスダンスの練習を始める。TOHOシネマズ シャンテなどで公開中。
『ナミビアの砂漠』 第77回カンヌ国際映画祭と並行開催された「監督週間」で国際批評家連盟賞を受賞。無為に日々を過ごしている21歳のカナ(河合優実)。ホンダ(寛一郎)と一緒に暮らしていたが、自信家のクリエイターハヤシ(金子大地)と徐々に関係を深めていく。何に対しても情熱を持てず、恋愛も暇つぶしと考えている21歳の女性を通して、日本の若者たちのリアルを描き出した恋愛、青春映画。奔放ながらも気怠そうに生きている主人公のカナを、俳優の河合優実がみずみずしく演じる。TOHOシネマズ日比谷などで公開中。
『Cloud クラウド』 黒沢清監督と菅田将暉が初めてタッグを組んだ作品。吉井(菅田将暉)はラーテルというハンドルネームで転売を行って稼いでいた。転売業が軌道に乗ったある日、吉井の前に紙袋マスクの男が突如現れる。インターネットに書かれたラーテルを憎む書き込みから、吉井は誰かに狙われていると感じ、彼の狂気は周囲を巻き込んでいく。共演は古川琴音、奥平大兼、岡山天音、荒川良々、窪田正孝など。TOHOシネマズ日比谷などで公開中。
『犯罪都市 PUNISHMENT』 人気シリーズ「犯罪都市」の4作目。ヤクザも恐れる怪物刑事マ・ソクト(マ・ドンソク)とソウル広域捜査隊は、デリバリーアプリを悪用した麻薬密売事件を捜査していた。捜査を進めるうち、手配中のアプリ開発者が謎の死を遂げた事件の背後に、フィリピンに拠点を置く国際IT犯罪組織の存在を突き止める。組織のリーダーは、拉致、監禁、暴行、殺人をいとわず、韓国の違法オンラインカジノ市場を掌握した、特殊部隊出身の“元傭兵”ペク・チャンギ(キム・ムヨル)。一方、組織オーナーで“ITの天才”CEOチャン・ドンチョル(イ・ドンフィ)は、韓国でさらに大きな犯罪計画を練っていた。マ刑事は、史上最大規模のIT犯罪計画を殲滅するため、広域捜査隊、サイバー捜査隊と新たなチームを結成し捜査を始める。
『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』 2011年2月、ファッション界に衝撃が走った。クリスチャン・ディオールのクリエイティブ・ディレクターだったジョン・ガリアーノが反ユダヤ発言で告発された。カフェで泥酔して暴言を吐く動画がネットで拡散し、有罪判決を受けたガリアーノは、ブランドから解雇される。事件から13年が経ち、ガリアーノがカメラを前に「すべてを話す」と口を開いた。ファッション界の天才児と持て囃されたガリアーノの転落と再起を追ったドキュメンタリー映画。ヒューマントラストシネマ有楽町などで公開中。
『ヒットマン』 大学で教鞭をとるゲイリー(グレン・パウエル)は、偽の殺し屋に扮して警察のおとり捜査に協力している。殺しの依頼人を次々と逮捕へ導いていく彼のもとに、マディソンという女性が夫の殺害を依頼してくる。殺し屋に扮して彼女の事情を聞くうちに、逮捕するはずの相手と恋に落ちてしまう。実話をもとに描かれるクライムコメディ。『トップガン マーヴェリック』のグレン・パウエルが見事な七変化を見せるのも見どころ。ヒューマントラストシネマ渋谷などで公開中。
『憑依』 霊が全く視えないインチキ祈祷師のチョン博士(カン・ドンウォン)は助手のインベと共に言葉巧みに依頼人を騙し、除霊と称した儀式でお金を儲けていた。ある日、ユギョンという若い女性から悪霊に取り憑いた妹を助けて欲しいという依頼を受ける。いつものように偽の除霊をしようとするが、チョン博士の持っていた鈴と七星剣が反応する。実はチョンは伝統ある祈祷師の末裔で、過去に起きた忌まわしい出来事により素性を隠して生きていた。チョンとユギョンはさらわれた妹を取り返すために悪霊と対峙する。新宿ピカデリーなどで公開中。
『ソウルの春』 1979年10月26日、独裁者とも言われた大韓民国大統領が、自らの側近に暗殺された。国中に衝撃が走るとともに、民主化を期待する国民の声は日に日に高まってゆく。しかし、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)は、陸軍内の秘密組織“ハナ会”の将校たちを率い、新たな独裁者として君臨すべく、同年12月12日にクーデターを決行する。一方、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)は、部下の中にハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況の中、自らの軍人としての信念に基づき“反逆者”チョン・ドゥグァンの暴走を食い止めるべく立ち上がる。史実を元にした歴史サスペンス。新宿バルト9などで公開中。
『ボストン1947』 1936年のベルリンオリンピック。ソン・ギジョンとナム・スンニョンは世界記録を樹立する。第2次大戦終結後、祖国は解放されたが、日本代表として出場した彼らの記録は日本の記録のままだった。祖国の記録を取り戻すために、彼らは指導者としてボストンマラソンに挑むのだが、国際大会出場への障壁は大きかった。監督は『シュリ』のカン・ジェギュ。出演は『チェイサー』のハ・ジョンウ、イム・シワンなど。新宿武蔵野館などで公開中。
『モンキーマン』 『スラムドッグ$ミリオネア』のデヴ・パテルが主演を務め、監督デビューを果たした作品。さらに『ジョン・ウィック』シリーズの製作スタッフと、プロデューサーのジョーダン・ピールがタッグを組んだ。闇のファイトクラブに猿のマスクを被って出場しているキッド(デヴ・パテル)には、母親を殺された過去があった。トラウマに苦しみ抗う彼は、ある日、すべてを奪った仇のアジトに潜入する方法を見つける。母親と自分の人生を滅茶苦茶にされた彼は、その怒りの力を復讐に使う。シネクイントなどで公開中。
<話題の配信ドラマ> 『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』 エミー賞で史上最多59賞を受賞した大人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』。その約200年前を舞台にしたシリーズ『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』がシーズン2まで配信中。ジョージ・R・R・マーティンの小説「炎と血」をベースに、かつて七王国を統一し、絶大な権力を保持していたドラゴン使い「ターガリエン家」が巻き起こす王位継承争いを描く。U-NEXTでシーズン2まで配信中。
『一流シェフのファミリーレストラン』 今年9月に開催された「76回プライムタイム・エミー賞(コメディ部門)」では、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞など主要部門を総なめしたドラマシリーズ。主演のカーミーをジェレミー・アレン・ホワイトが演じている。シーズン1では、ニューヨークの有名レストランで活躍していたカーミーが、兄の死をきっかけに地元シカゴに戻り、兄の遺した借金まみれのサンドイッチ店「ザ・ビーフ」を引き継ぐところから始まる。カーミーは、兄の元で働いていたクセの強いスタッフたちとぶつかりながらも、店をなんとか再建しようと奮闘する。シーズン2では、地元のサンドイッチ店からレストランへとリニューアルしていく過程を描く。ディズニープラスでシーズン3まで配信中。
『エクスパッツ ~異国でのリアルな日常~』 香港を舞台にした駐在アメリカ人の物語。原作はジャニス・Y・K・リーによる世界的ベストセラー小説「Expatriates」で、ニコール・キッドマンが主演、監督を映画『フェアウェル』などで知られるルル・ワンが務めた。エクスパッツ(Expats)とは、Expatriateの略。母国を離れて他国に長期間に渡って住む人のことで、国外在住者や海外駐在員のことを指す言葉だ。本作は、香港に住む3人のアメリカ人女性たちが、家族に起きた突然の悲劇をきっかけに人生を交差させていく。Prime Videoで配信中、全6話。
『サニー』 A24製作、ラシダ・ジョーンズ主演、西島秀俊、國村隼、ジュディ・オングらが出演するダークスリラー。原作は日本在住のアイルランド人作家コリン・オサリバン著の小説「ダーク・マニュアル」。スージー(ラシダ・ジョーンズ)は、京都に住むアメリカ人女性。謎の飛行機事故で夫のマサ(西島秀俊)と息子のゼンが消息不明になってしまう。ある日お見舞いと称して、マサが勤める電子機器メーカー「イマテック」が製造したという家庭用ロボット「サニー」が自宅へ届けられる。彼女のためにプログラミングされたというサニーは、スージーを慰めようとするが、スージーは気味が悪いと毛嫌いする。ところがサニーにマサの面影を見たスージーは、以来サニーのことを信頼するように。生死もわからない夫の行方を探るスージーだが、思いも寄らない秘密を知り、怪しげな世界へと足を踏み入れていく。AppleTV+で配信中、全10話。
『アンブレラ・アカデミー』 「マーベル・コミック」、「DCコミックス」と並ぶアメリカの大手コミック出版社である「ダークホースコミックス」から刊行されているコミック原作のスーパーヒーロー作品。シーズン1では、1989年、妊娠していないはずの女性43人が突如出産するという奇妙な事件が世界で起きる。資産家のハーグリーブス卿は、こうして生まれた7人の子どもを養子にし、彼らの特殊能力を鍛えて「アンブレラ・アカデミー」を設立。ナンバー1からナンバー7と名付けられた子どもたちは、特殊能力を活かし世の中を悪事から守っていたが、ナンバー7だけは特殊能力が開花しなかった。あることをきっかけに解散していたアンブレラ・アカデミーだが、2019年のハーグリーブス卿の死をきっかけに再び集結。その際ナンバー7のヴァーニャは自身の能力が制御されていたことを知り暴走。世界を滅亡へと導いてしまうが、兄弟たちは歴史を変えるために過去へと向かう。Netflixで最終シーズン(シーズン4)まで配信中。