河合優実、『ナミビアの砂漠』で演技力と存在感を示す

河合優実、『ナミビアの砂漠』で演技力と存在感を示す

河合優実、『ナミビアの砂漠』で一躍注目を集める

「家族だから愛したのじゃなくて、愛したのが家族だった」。この言葉が印象的な映画『ナミビアの砂漠』(山中瑶子監督)で主演を務めた河合優実が、今年一躍スターの仲間入りを果たした。1月期のドラマ「不適切にもほどがある!」(ふてほど)で演じた1986年の不良女子高生の役で、「誰この子?」と多くの人が思ったに違いない。その後、話題の映画やドラマ、大企業のCMに次々と出演し、その存在感を示している。

『ナミビアの砂漠』での魅力的な演技

『ナミビアの砂漠』の冒頭、カナが大股でずんずんと歩いてくるシーンは、観客の目を奪う。友人が深刻な話をしているのに、カナの心はどこかに飛んでしまっている。このキャラクターが映画の冒頭数分でよく表現されている。

カナは、一緒に暮らす彼氏がいるのに浮気し、別の男に乗り換える。ケンカと仲直りを繰り返し、一見、欲望のままに生きているように見えるが、本人なりに、そんな自分に嫌気がさしている。キャッチコピー「私は私が大嫌いで、大好き」が、彼女の複雑な心情をよく表している。

山中監督の演出と主要キャストの演技

9月6日に公開された『ナミビアの砂漠』は、公開規模こそ大きくないが、山中監督の演出や河合ら主要キャストの演技は確実に観客を引きつけている。面倒な女性だが、どこか憎めない人物のカナ。物語が進むにつれ、肉体的にも精神的にもどんどん傷ついていく。

河合優実の演技哲学

自分と近い役柄でも遠い役柄でも、脚本を読んだ際に心が動いたシーンを起点に演じるキャラクターを作っていくことが多いという河合。今作では特に、一筋の光が見えるラストシーンが好きだと話していた。ケンカばかりの2人に光が差す瞬間、中国籍でカナと離れて暮らしている母親とカナがテレビ電話をするシーンがある。向こうは中国の親戚や知人と一緒にいるようだ。カナは日本育ちでほとんど中国語が話せず、電話の様子から母子の微妙な距離感が見て取れる。

河合が好きなのは電話が終わってから後のやりとり。そばで聞いていた今彼のハヤシ(金子大地)が、電話の会話から聞こえてきた「『ティンプートン』って何?」と問いかける。カナは「分かんない(という意味)」と答えると、2人にささやかな笑いが起こる。激しいケンカを繰り返していた2人だったが、異言語を使うカナの母が登場したことで空気が変わった。

「共通の敵ではないけれど、『この人たちの言っていること、分からないよね』って共有するものが生まれたというか、それでなんか打ち解けられたのかなと私は思いました」と河合は語る。そして、「もうケンカすることとか相手を振り回すことにさえ疲れてボロボロになった結果、シンプルにもう一回、この人と顔を合わせて『ごめんね』とか『ありがとう』とかを伝え合ってみようかなという気分に、演じていてなりました」と振り返っていた。

河合優実の今後

河合優実は、『ナミビアの砂漠』での演技を通じて、その演技力と魅力を存分に発揮した。今後も、彼女の活躍が期待される。彼女の演技は、観客に深い共感を呼び起こし、物語の奥深さを引き出す力を持っている。『ナミビアの砂漠』は、彼女の代表作の一つとして、多くの人々の心に残ることだろう。