【オールブラックス来日】世界最強の座を失いつつも、変わらぬ魅力と実力を誇るNZ代表の全貌
今月末、オールブラックスが2年ぶりに日本を訪れる。10月26日(土)に日産スタジアムで開催される『リポビタンDチャレンジカップ2024』で日本代表と対戦する。この試合に向けて、オールブラックスの魅力に迫るコラムを毎週水曜日に紹介する予定で、試合まで全3回の短期集中連載をアップする。
現在のオールブラックスは世界最強の座を失っている。2019年と2023年のラグビーワールドカップでは南アフリカが連覇を果たし、最多優勝記録を更新された。世界ランキングでもアイルランドと南アフリカに次いで3位に甘んじている。8月から9月にかけて行われた南半球最強決定戦『ザ・ラグビーチャンピオンシップ』では南アフリカに連敗し、アルゼンチンとの対戦でも1勝1敗、ニュージーランドは3勝3敗に終わった。
しかし、オールブラックスの輝きは失われていない。ラグビーのアイコンとしての地位は揺るがず、試合前のハカもブランドを高めている。人口480万人にも満たないオセアニアの島国が世界最強の座に君臨し続けたことは奇跡的だ。
フィールド上でも唯一無二の存在である。15人がBKのように俊敏に動き回るスタイルは健在で、フィジカルの隆盛や勝利至上主義の潮流にあっても、トライを目指す攻撃的な展開ラグビーを実践している。アグレッシブなSHとスキルフルでアイデア豊富なSOのハンドリングのもと、パワーを武器とするFWとスピードを誇るBKがボールを前に運ぶ。陣形が乱れてアンストラクチャーとなれば、ショータイムである。確かなスキルを兼ね備えた15人がジャズのセッションのような即興のアタックを奏でる。
オールブラックスにはスーパースターが名を連ねる。2023年ワールドラグビー年間最優秀選手のNO8アーディー・サベア、HOの域を超えた加速と嗅覚でトライを量産するコーディー・テイラー、突破力と防御力を高いレベルで両立するCTBジョーディー・バレット、爆発的なパワーとスピードを兼ね備えたWTBケイレブ・クラークなどがいる。SOにはFBも兼任するふたりのファンタジスタが共存する。広い視野と研ぎ澄まされた戦術眼から卓越した技術で相手の急所をピンポイントで突くボーデン・バレットと、パスとキックでアタックをリードするとともにスピードとステップと相手の意表を突くアイデアで自ら突破を図るダミアン・マッケンジーである。さらにスコット・ロバートソンHCから新たな主将に任命されたLO/FLスコット・バレットや今ツアーでの代表引退を発表している前主将のFLサム・ケイン、ハカのリーダーでもあるSHのTJ・ペレナラなど、数多くのタレントが揃っている。
10月7日、日本戦を皮切りにイングランド、アイルランド、フランス、イタリアと連戦を行う北半球ツアーに参加するオールブラックスのメンバーが発表された。36名のメンバーは以下の通り。
【PR】イーサン・デグルート(ハイランダーズ)28 タイレル・ロマックス(ハリケーンズ)40 フレッチャー・ニューウェル(クルセイダーズ)20 パシリオ・トシ(ハリケーンズ)3 オファ・トゥウンガファシ(ブルーズ)63 タマイティ・ウィリアムズ(クルセイダーズ)14 【HO】アサフォ・アウムア(ハリケーンズ)15 コーディー・テイラー(クルセイダーズ)93 ジョージ・ベル(クルセイダーズ)1 【LO】スコット・バレット(クルセイダーズ)76 トゥポウ・ヴァアイ(チーフス)34 パトリック・トゥイプロトゥ(ブルーズ)46 サム・ダリー(ブルーズ)5 【FL/NO8】イーサン・ブラッカダー(クルセイダーズ)15 サム・ケイン(チーフス/東京サントリーサンゴリアス)100 サミペニ・フィナウ(チーフ)4 ルーク・ジェイコブソン(チーフ)24 ダルトン・パパリィイ(ブルーズ)36 アーディー・サベア(モアナ・パシフィカ)90 ウォレス・シティティ(チーフス)5 【SH】キャム・ロイガード(ハリケーンズ)5 TJ・ペレナラ(ハリケーンズ/リコーブラックラムズ東京)87 コルテス・ラティマ(チーフス)8 【SO】ボーデン・バレット(ブルーズ)131 ダミアン・マッケンジー(チーフス)56 【CTB】ジョーディー・バレット(ハリケーンズ)65 デービッド・ハヴィリ(クルセイダーズ)28 リーコ・イオアネ(ブルーズ)77 アントン・レイナートブラウン(チーフス)79 ビリー・プロクター(ハリケーンズ)1 【WTB/FB】ケイレブ・クラーク(ブルーズ)25 ウィル・ジョーダン(クルセイダーズ)37 ルーベン・ラヴ(ハリケーンズ)0 スティーヴン・ペロフェタ(ブルーズ)5 セヴ・リース(クルセイダーズ)30 マーク・テレア(ブルーズ)15
上記メンバーの一部は日本戦を前に欧州遠征へ移動する。また11月に欧州遠征を行うオールブラックスXVのメンバーから数人がオールブラックスに帯同することも発表された。
メンバーを選出したロバートソンHCは、北半球ツアーの重要性について次のようにコメントした。 「テストマッチはどの試合も重要。これからの試合はすべてがこの1年で最大の試合になる。北半球ツアーは私たちにとって非常に重要。大きな舞台には大きなチャンスがあり、選手たちがどのように活躍するか問われる。選手たちがチャンスを楽しみにし、素晴らしいパフォーマンスを披露する環境を作っていきたい」
また、今ツアーでの黒衣を脱ぐケインとペレナラの選出についても言及している。 「経験があること、テストマッチに適応していること、リーダーシップがあることは北半球ツアーで勝つために重要。彼らはそうした資質を多く持っている。彼らは今年のテストマッチでもいいパフォーマンスを見せた。(SHの)キャムとコルテスは数回しかテストマッチに出ていないが、TJがチームにバランスをもたらしてくれるだろう」
果たして、日本代表が8度目の挑戦で初の快挙を成し遂げるのか、オールブラックスがオールブラックスたる所以を披露するのか。『リポビタンDチャレンジカップ2024』日本代表×NZ代表は10月26日(土)・日産スタジアムにてキックオフ。日本代表のメンバーは10月10日(木)に発表予定。チケット発売中。