33歳の挑戦者、谷口彰悟:欧州進出でキャリアの新たなステージへ「ギラギラした心でレベルアップを目指す」
北中米ワールドカップ出場をかけたアジア最終予選で3バックの中央として日本代表を束ねる谷口彰悟。今夏、33歳でカタールのアル・ラーヤンからベルギーのシントトロイデンへ初の欧州挑戦を果たし、リーグ戦でも存在感を示している。
谷口は2014年に川崎フロンターレに加入し、公式戦377試合に出場。4度のJ1優勝を含む国内三大タイトルを獲得し、リーグ選出のベストイレブンにも4度選ばれた。2022年のカタールワールドカップでは2試合に出場し、代表としての経験を積んだ。
33歳でのヨーロッパ挑戦について谷口は、「なかなか前例がないというか、あまり聞かないようなキャリアの歩み方をしていると自分自身もよく理解しています。ただ、常にレベルの高い場所でサッカーをしたいという思いは常にもっていました。この年齢で初めてとなるヨーロッパ挑戦を僕自身もワクワクしています」と語っている。
しかし、新天地での初先発となったロイヤル・アントワープとの試合では6失点の完敗を喫した。谷口は「90分間出場して6失点は、なかなかショッキングな結果でした」と振り返りながら、「ベルギーへ移籍してきて、全然ダメだとなれば『ほら見たことか』となるはずなので。そこは自分自身に大きなプレッシャーをかけながら、力があればこの年齢でもヨーロッパの舞台でしっかりと戦えると示していかないといけない」と挑戦への強い思いを語っている。
9月に入ると、2026年の北中米ワールドカップ出場を懸けたアジア最終予選に臨む森保ジャパンに招集された。ヨーロッパ組としての経験も初めてで、谷口は「コンディションを最優先していただいてチャーター便を用意してもらった点を含めて、ストレスを最低限に抑えてもらっているので、そこには本当に感謝しています」と述べている。
埼玉スタジアムでの中国代表戦に向けて、谷口は「前回の活動から時間も空いているし、それぞれが所属クラブでプレーしていて、あるいはクラブが変わった選手もいる。僕も所属クラブが変わった一人なので、当然やり方も変わるし、メンバーも変わるし、いろいろなところでいろいろな変化が起きていますけど、代表に帰ってきたからには頭のスイッチを切り替えて、全力を尽くして最終予選を戦っていかないといけない」と意気込んでいる。
また、谷口が日本に滞在している間に、シントトロイデンはイタリア出身のクリスティアン・ラタンツィオ監督を解任し、ベルギー出身のフェリス・マッズ新監督が就任した。谷口は「SNSで知りました」と明かし、「クラブからは連絡もきていなかったですし、初めて知ったときには『マジか……』と思いましたけど、いまは代表期間中なので最終予選に集中しています」とコメントしている。
31歳で臨んだカタールワールドカップが転機となり、谷口は自身に足りなかった国際経験を積み重ねる決意を固めた。カタール大会後にアル・ラーヤンへの移籍を決断し、「これからもフロンターレで自分自身とチームのレベルアップを目指していく選択肢もありましたが、海外のまったく違ったサッカー環境に身を置き、サッカー選手として成長したいという思いでチャレンジする決断をくだしました」と語っている。
シントトロイデンでの状況も好転し、マッズ新監督のもとで最終ラインの要を務め、リーグ戦初白星をあげた。移籍後初ゴールもマークし、2勝5分けと7戦連続無敗をマーク。谷口は再び代表モードに切り替え、サウジアラビア代表とのアジア最終予選に臨んでいる。
谷口は「(ベルギーからの)ステップアップを狙っているのか、と言われれば、そこは狙っています。まだまだ僕も頑張っていきますし、これからもギラギラしていきますよ」と意気込んでいる。33歳を迎えたシーズンでのヨーロッパ初挑戦も通過点。谷口は所属クラブと日本代表とで、サッカー界の常識を覆すキャリアを自らの力で紡いでいく。