「二軍首位打者」知念大成、その即戦力とヤクルト伝説を彷彿させるプレースタイル!10月24日ドラフト会議での評価は?

「二軍首位打者」知念大成、その即戦力とヤクルト伝説を彷彿させるプレースタイル!10月24日ドラフト会議での評価は?

10月24日に迎えるドラフト会議では、今年からイースタン・リーグに加入したオイシックス新潟アルビレックスBCと、ウエスタン・リーグに加入したくふうハヤテベンチャーズ静岡の2球団も対象となる。

その中で、最も注目される選手の一人がオイシックスの知念大成外野手(沖縄尚学-沖縄電力)だ。今年のイースタン・リーグでは111試合に出場し、打率.323、4本塁打、39打点、12盗塁と、見事に首位打者を獲得した。NPBの投手と対戦してこの成績は、「即戦力外野手」として大きなアピールとなる。

知念は沖縄尚学時代、最速145キロを誇る左腕として活躍。入社直後は投手として登板していたが、社会人3年目から外野手に転向し、高卒5年目の昨年に退社して、今年からオイシックスに入団した。彼の打撃フォームやハツラツとしたプレーは、今年で現役引退したヤクルトのレジェンド・青木宣親外野手を思い出させる。

9月20日のロッテ戦では、2番センターでスタメン出場した知念が、ロッテのエース格・種市篤暉投手(八戸工大一)と対戦。種市は怪我から復帰したばかりで、常時140キロ台後半・最速152キロの速球、140キロ台のフォークを投げ込んでいた。知念は2球ファールで粘り、6球目の152キロの内角ストレートをレフト前ヒットへ弾き返した。一軍レベルの152キロのストレートを詰まりながらレフトへ流し返す技術は非凡だった。

その後、2打席目以降は一軍でも実績のある左腕・メルセデス投手がマウンドに登った。第2打席は145キロのストレートを打って中飛、第3打席はセーフティバントを仕掛けて投手フライだった。7回表の第4打席では、メルセデスの内角145キロストレートを振り抜いてライトフェンス直撃の三塁打。第5打席でも左腕・秋山正雲投手(二松学舎大付)の142キロのストレートを振り抜いて、ライトへ三塁打。5打数3安打1打点、2三塁打の大活躍だった。

知念の打撃は、フルスイングをしながらも、しっかりとコンタクトができている。三塁側から見ると、スイングの強さが伝わる。俊足でもある知念はセーフティバントする機会も伺っている。強打と小技を状況に応じてやろうとする狙いが感じられた。

打撃フォームは、重心を深く沈めて、オープンスタンスで構える。重心が低く、インサイドアウトのスイングでスピンをかける打ち方は青木と似ている。175センチの青木は他の選手と比べて体が小さかったが、それでも技術で遠くへ飛ばすことができていた。

知念はスイングスピードも速く、広角に打球が伸びる。コンタクト力も高いので、粘っこい打撃ができる。リードオフマンとしては理想的な打撃内容である。

イースタン・リーグでは首位打者だけでなく、リーグトップの129安打、6三塁打を記録。広いコースに対応できており、NPBの各球団にアピールができただろう。足も非常に速く、内野安打のタイムは3.95秒。俊足の左打者と呼ばれる条件は、塁間4.00秒到達することだといわれている。どの試合でもそのタイムはクリアしており、全力疾走を怠らない。イースタンでの盗塁は12盗塁しているが、盗塁失敗が11とまだ課題が多い。

外野守備も、もともと投手をやっていたこともあり、かなりの強肩。視野が広く、レフト、ライトへ指示を出しながら、うまく連携を取りながら守っているのがわかった。

プレーを見ていると、集中力の高さとがむしゃらさが伝わる。二軍戦を見ていると、一部の選手に「緩さ」を感じてしまうところがある。守備位置までの走り、プレーに対する集中度など大きな違いがある。知念は守備位置につくスピード、ベンチに戻るスピードも速い。グラウンドに入れば、NPBスカウトから一挙手一投足が見られる意識がキビキビとした動きにつながっている。

走攻守の総合力、プレーに対する意識の高さから見ても本指名は有望だろう。俊足かつ打力が高い外野手を求めている球団にとっては合致する。大学、社会人の候補にない強みは、1年間、二軍ではあるが、NPBのスケジュールでプレーしていたこと。今年は111試合に出場したが、9月になっても息切れすることなく、乗り切った。二軍の試合は一軍と比べてデーゲームが多い。記録的な猛暑の中でも勢いは落ちなかった。

新人はそのスケジュールに苦しみ、シーズン後半にパフォーマンスを落としてしまう。知念は環境に戸惑うことなく、即戦力としてフィットするだろう。課題は一軍レベルの投手の対策、そして厳しいマークを乗り越えることだけだ。

10月24日のドラフト会議で、12球団がどのような評価をするのか、その答えが明かされる。

<知念大成の今季成績> 111試合 399打数129安打 4本塁打39打点 19二塁打6三塁打 36三振 OPS.793 安打数、三塁打数はリーグ1位 出塁率.362はリーグ4位