名作漫画の主人公たち、恋愛成就未遂の名シーンを振り返る

名作漫画の主人公たち、恋愛成就未遂の名シーンを振り返る

名作漫画に登場する主人公カップルの恋愛模様は、多くの読者を魅了してきました。しかし、両思いなのになかなか結ばれない展開もしばしば見られます。ここでは、そんな恋愛成就未遂のシーンを振り返ってみましょう。

まず、北条司氏の『シティーハンター』では、主人公・冴羽獠と相棒・槇村香の関係が注目されます。仕事は超一流だが女好きの獠と、いつも振り回されながらもハンマーで見事に撃退する香。2人の恋愛模様は、読者を何度もヤキモキさせました。

6巻の「恋のフライングの巻」では、依頼人の少年・松岡拓也が獠と香をくっつけようと画策します。獠は香を女として見ていないと豪語しますが、拓也は香の着替え写真を隠し撮りして獠に見せると、獠の反応は明らかに動揺。拓也は「獠が香を好きな気持ちがバレないようにしている」と、2人の前でハッキリ言ってしまいます。

香は頬を赤らめて、珍しく乙女の顔を覗かせました。対して獠は「恋人は作らない主義なんだがな~~」「いっそ香を口説いちまったほうがいいのかな……」と、驚きの発言をします。しかし、いざ香を前にすると緊張してしまい、口説き文句も用意できない獠は、いきなりキスをしてあとは成り行きに任せようと決意します。

しかし、キッチンで洗い物をしている香に後ろから抱き着いてキスをしようとした瞬間、キスしたのは香の服を借りていた依頼人の川田温子でした。そして、後ろにはものすごい殺気を放って立ち尽くす香の姿が……。このシーンは、読者にとって残念な展開となりました。

次に、あだち充氏の『タッチ』では、主人公・上杉達也と双子の弟・和也、幼なじみの浅倉南の三角関係が見どころです。和也は1年生ながら明星学園高等部野球部のエースで、南のことを大好きで、彼女を甲子園に連れて行くことを目標に野球に取り組んでいました。一方、達也は天才肌ながらいつも弟を立てていて、南への気持ちを抑え、2人を見守っていました。

コミックス5巻では、勉強部屋で後ろから南を抱きしめる和也。しかし、南は反応せず、和也は気持ちを察して部屋に戻ってしまいます。その夜、南は高熱を出し、唯一気づいたのが達也でした。南を保健室に連れて行き、自宅まで送り届けた際、南は「好きだよ、タッちゃん……」と告白します。達也は「かなり重病だな…」と返し、その後、よろけた南を抱きしめるシーンが描かれました。

さらに、達也のボクシングデビュー戦後、南が達也にキスをするシーンも登場します。しかし、2人が結ばれるのは最終巻。まだまだ先の話となります。

最後に、森川ジョージ氏の『はじめの一歩』では、主人公・幕之内一歩と間柴久美の関係が進展しません。相思相愛なのに、超が付くほどの奥手な一歩が踏み込めません。ボクシングでは強烈な相手を前にインファイトでどんどん踏み込んでいくのに、久美の前では消極的です。

コミックス33巻では、一歩は鴨川ジムの面々と腕相撲で勝負し、負けたら久美に告白することになりました。雪が降る中、公園で良い雰囲気になり、一歩は告白しようと決意します。しかし、勇気を振り絞って「久美さん…」「あの、その」と切り出すも言葉に詰まり、結局「4月に試合がありましてですね…」と話してしまいます。これには愛犬のワンポもずっこけました。

漫画に登場する恋愛成就しない主人公カップルは、読者をヤキモキさせつつも、キュンキュンさせる魅力があります。両想いの状態は、はたから見れば一目瞭然でも、当事者としては今の関係を壊したくなくて不安になるものです。『はじめの一歩』はまだ完結していないだけに、一歩と久美は早く結ばれてほしいものですが、お兄さんの間柴了の反応も見ものです。