「立浪和義のポジション剥奪」落合博満監督の決断とその背景
中日ドラゴンズの監督を務めた8年間、ペナントレースではすべてAクラスに入り、日本シリーズには5度進出、2007年には日本一にも輝いた落合博満。しかし、彼はフロントや野球ファン、マスコミから厳しい目線を浴び続けた。『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(鈴木忠平著/文藝春秋)というベストセラーが、新章の書き下ろしを加えて文庫化された。
この本の中で、2006年シーズンに立浪和義を外した場面が紹介されている。落合監督はなぜ、ドラゴンズのスター選手であり、“聖域”ともいえる立浪のポジションをなんの説明もなく剥奪したのか。
落合監督は、選手たちが生活をかけて競争していることを強調し、「選手たちは自分たちで決着をつける」と述べた。彼は、選手たちが自分たちで問題を解決するため、監督として無言を貫いたという。
また、落合監督はベンチから定点観測することで、立浪の守備範囲が年々狭まっていることに気づいた。そのため、森野にノックを打ったという。これは、立浪のポジションを外す明確な理由だった。
落合監督は、チームにとっての重大な穴が見えていると語り、「これは俺にしかできないことだ」と述べた。彼は、他の監督にはできないことを成し遂げたと自信を示した。
2006年7月2日の広島戦前、用具室から立浪の怒声が聞こえた。立浪は、自分のポジションが外されたことに激怒していた。プレーボールまであと1時間、ベンチ裏では先発メンバーが発表され、立浪の名前がなかったことが原因だった。
落合監督の決断は、チームに大きな影響を与えた。彼の言動は、選手たちの心の揺れをも反映していた。