『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』ホアキン・フェニックスとレディ・ガガが描く現実と妄想の境界、観客の予測を超える衝撃作
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を紹介します。
10月11日に公開される『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』と、「踊る」シリーズ2部作『室井慎次 敗れざる者/室井慎次 生き続ける者』について、詳しくお伝えします。
『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は、2019年に公開され、第76回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、第92回アカデミー賞ではホアキン・フェニックスが主演男優賞を獲得した『ジョーカー』の待望の続編です。心優しきコメディアンを目指すアーサー・フリックが、社会の歪みの中で「悪のカリスマ」へと変貌する物語が続きます。
今作では、ジョーカーが殺人の罪で州立病院に収監され、裁判を待つ日々を送っています。ある日、ジョーカーはミステリアスな魅力を持つ女性リーと出会います。リーはジョーカーの狂気に魅了され、ピエロ風のメイクを施し、民衆を扇動するようになります。狂乱が社会に広がる中、ジョーカーの暴走がますます激しくなります。
ホアキン・フェニックスが再びジョーカー役を演じ、複雑に変化するジョーカーの内面を情感豊かに表現しています。また、謎の女性リー役にはレディー・ガガが起用され、独特の存在感で観客の心を引き込みます。2人の怪演は必見です。
タイトルの「フォリ・ア・ドゥ」はフランス語で「二人狂い」という意味で、ひとりの妄想が他の人に感染し、複数の人が同じ妄想を共有することを表しています。この混沌とした世界観に没頭することで、ジョーカーに共感してしまう没入感が、『ジョーカー』シリーズの最大の魅力です。観る人によって、そして観るタイミングによって、様々な解釈ができる作品です。
一方、「踊る」シリーズ2部作の『室井慎次 敗れざる者/室井慎次 生き続ける者』は、1997年に連続ドラマとして始まり、熱狂的なファンを生み出し、劇場版も大ヒットを記録した『踊る大捜査線』シリーズの新作です。柳葉敏郎演じる室井慎次が主人公で、波乱に満ちた警察人生を送った後、27年前の「青島との約束」を果たせなかったことを悔やみ、警察を辞めて故郷の秋田に戻ってきます。
穏やかな日々を過ごしていた室井の前に、かつて湾岸署で逮捕した猟奇殺人犯の娘が現れます。この謎の少女との出会いが、新たな物語の始まりとなります。筧利夫、真矢ミキ、升毅など、おなじみのキャストも登場し、「踊る」ファンにとっては嬉しい作品です。
後編『室井慎次 生き続ける者』は11月15日に公開されます。正義を信じ、理想を追い続けた男の生き様を、ぜひ劇場でご覧ください。