50歳でカナダ留学。光浦靖子が経験した苦労と成長

50歳でカナダ留学。光浦靖子が経験した苦労と成長

光浦靖子さんがカナダ・バンクーバーへ留学したのは、2021年7月のこと。50歳という年齢で一念発起し、新しい人生の一歩を踏み出した。彼女の留学生活は、コロナ禍の影響で多くの困難に直面したが、その経験を記したエッセイ『ようやくカナダに行きまして』が文藝春秋から発売された。

留学の初期は、コロナの隔離期間や様々なトラブルで苦労した。14日間の隔離期間が徐々に短縮され、最終的には不要となったが、光浦さんが到着した時期はまだ厳しい規制が続いていた。その結果、人気のカレッジにすんなり入学することができた。しかし、隔離期間中には警察の制服を着た人が訪問し、隔離状況を確認するという緊張の日々が続いた。

カナダの生活は、光浦さんの几帳面な性格と衝突することも多かった。配達やアパートの管理など、日本では当たり前に期待されるサービスが存在せず、自己管理が求められた。それでも、光浦さんは「日本が特別に素晴らしい」ということを実感し、世界の多様性を学んだ。

留学中、光浦さんはコロンビア人のヘレナさんとの出会いを通じて、人間関係の構築にも変化が見られた。ヘレナさんは、誰でも一度受け入れ、その後で仲良くなりたい人を選択するタイプで、パーティーでは孤立している人々を自然に巻き込む能力を持っていた。光浦さんはヘレナさんから「一度乗っかろう」という姿勢を学び、自分自身も積極的に交流を深めるようになった。

英語の習得も大きな課題だった。外語大出身の光浦さんでも、英語の聞き取りや発音の違いに苦労し、留学1、2年でペラペラになるという期待は見事に打ち砕かれた。しかし、諦めることなく、3倍の時間と努力を重ねることで、最終的には英語をマスターするという目標を掲げている。また、他人と自分を比べることもなくなった。

光浦靖子は、50歳という年齢で新たな挑戦を続け、人生の折り返し地点で新たな視野を広げている。彼女の経験は、多くの人々に勇気と希望を与えるものだ。