『おむすび』結とハギャレン、夢への一歩と聖人&陽太の優しさ
1999年にリリースされ、若者の間で大ヒットした浜崎あゆみの「Boys & Girls」が流れ、博多ギャル連合、通称「ハギャレン」のメンバーが歌う「輝きだした僕達を誰が止めることなど出来るだろう」というフレーズは、彼女たちが「ギャルの歴史を本にする」「ネイリスト」「ダンサー」「何でもいいから社長になる」と、輝かしい未来に向かって突き進む激励の言葉になっていた。
一方、結(橋本環奈)には、「これ!」と言えるような夢はまだない。強いて言えば実家の農家を継ぐことだが、それは家族が安心するためという思いが強い。好き勝手だった姉の歩(仲里依紗)とは違い、結は家族に心配や迷惑をかけないよう生きてきたため、自分の軸がはっきりしていない。そんな結の心に、「タマッチ」こと珠子(谷藤海咲)の「あんたの未来、それでいいと?」という言葉が刺さる。
先週、結は初めて自分の意志でハギャレンのメンバーと一緒に糸島フェスでパラパラダンスを踊る決断をした。今週は結が「自分はどうしたいか?」にさらに焦点を当てる週になるだろう。
選択を迫られる一つが住む場所だ。結が週末に博多へ行ってタマッチのスパルタ指導を受けながらパラパラの練習に励んでいた頃、父の聖人(北村有起哉)は同業者で幼なじみの井出(須田邦裕)から糸島フェスの手伝いを頼まれた。不景気と後継者不足で糸島では農家が続々と離農している。井出は「俺らの世代が糸島を盛り上げていかなければ」と考えているが、聖人は神戸に移り住んで再び理容師の仕事がしたいという思いがあったため、素直には乗り切れなかった。
妻の愛子(麻生久美子)は「結とちゃんと話すべきだと思う」と助言し、聖人は家族への過干渉を反省しながら、今はなるべく傍観に徹して不器用な優しさを見せている。
結のクラスメートで幼なじみの陽太(菅生新樹)も重要な存在だ。博多で偶然、結がギャルたちと一緒にパラパラを踊っている姿を目撃した陽太は、結が無理やりやっていると誤解して、毎週末は結を尾行して見守っていた。学校では「リサポン」こと理沙(田村芽実)からパラパラの自主練を迫られている結の間に割って入り、「次、あいつらに絡まれたら俺に言え!」と去っていく。
ある日、結がハギャレンのメンバーとカラオケで話し込んで門限を過ぎてしまい、陽太は電車の終着駅で偶然を装いつつ結の手を引いて実家へ向かい、聖人の前で「全部俺のせい」だと土下座し、「実は俺たち、付き合っとる」と宣言する。鈍感な結もさすがに陽太の気持ちに気づいたが、結の恋の矢印は書道部の風見先輩(松本怜生)に向かっているし、他校の翔也(佐野勇斗)とも距離が縮まっている。
将来の夢、住む場所、目下の目標、恋のことも含め、今の結は考えなければならないことがたくさんある。