『ファントムブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』: 新作RPGの詳細と開発者インタビュー

『ファントムブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』: 新作RPGの詳細と開発者インタビュー

2024年9月26日、東京ゲームショウで『ファントムブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』のグローバルプレスカンファレンスが開催

2024年9月26日、東京ゲームショウの開催に合わせて、日本一ソフトウェアの新作RPG『ファントムブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』のグローバルプレスカンファレンスが開催されました。このイベントでは、開発責任者の細野裕矢氏、シナリオを手掛けた城花健人氏、そして声優の寺井らんさんと戸田めぐみさんが登壇し、さまざまな新情報が発表されました。

イベントの模様

作品の概要と発売日

プレスカンファレンスの冒頭では、作品の概要が説明されました。本作は「海賊」をテーマにしたRPGで、重要な戦闘システム「コンファイン」についても詳しく解説されました。コンファインは、マップ上の岩や草などのオブジェクトに死者の魂を乗り移らせ、味方ユニットに変えるシステムです。初公開のPVでは、作品の世界観や見どころが深く掘り下げられ、視覚的に魅力的な内容が紹介されました。

発売日については、2025年1月30日に日本と北米、欧州で同時発売されることが明かされました。アジア圏とSteam版の発売日は2025年春頃になることも発表されました。

キャラクター紹介

続いて、登壇者によるキャラクター紹介が行われました。戸田めぐみさんは「アプリコを見守ってほしい」と、寺井らんさんは「私の中に眠る怪物を呼び覚まして(二面性のあるウルミを)演じました」と、それぞれ演じたキャラクターの印象を語りました。

特典とDLC情報

特典やDLCの情報も初公開されました。限定特典の内容や、他の日本一ソフトウェア作品のキャラクターが登場することも明らかにされました。特に、途中で「ラハール」というフレーズが飛び出し、『ディスガイア』シリーズファンは今後のDLC情報に期待が高まっています。

プレス向け体験会

カンファレンス後には、プレス向けの体験会が実施されました。体験会では、拠点となる島での会話や探索、そして作中で訪れる「ネイビィ島」でのバトルシーンをプレイすることができました。

バトルシステム

バトルシステムは、マップ上の岩や草に死者の魂を乗り移らせて味方ユニットに変える「コンファイン」が中心です。マップ上を自由に移動して戦うターン制の戦闘システムで、画面右上に行動順が表示され、行動範囲も円で示されるなど、UIの視覚的な分かりやすさが特徴です。前作のプレイ経験がないプレイヤーでも行動プランを立てやすく感じられます。

コンファインした仲間が主戦力ですが、時間が経つと憑依が「解除(リムーブ)」となって離脱してしまうため、マローネでユニットを上手く指揮していくことが攻略のポイントです。移動やアビリティの選択肢が多く、コンファインするオブジェクトによってユニットの能力が変化するため、同じマップでも全く同じ展開にはなりづらい印象です。自由度の高さから、明らかに「これが正解だ」と思える選択肢がなく、様々なことを試したくなるプレイフィールになっています。

キャラクターの表現

バトル前後の掛け合いでは、キャラクターが表情豊かにモーションするのもかわいらしい印象です。探索でもマップの見づらい角度まで作りこまれていることが印象的です。原田たけひと氏によるキャラクターデザインを忠実かつキュートに再現した3Dモデルにも注目です。

城花健人氏へのインタビュー

イベント後には、本作のシナリオを担当している城花健人氏へのインタビューの機会が得られました。

自己紹介

城花:日本一ソフトウェアで主にシナリオを担当しています。本作ではシナリオをひとりで執筆しており、技などキャラクターの個性に関わる部分の演出も監修しています。

続編の経緯

城花:企画がスタートしたのは『ディスガイア7』の開発段階でした。『ディスガイア7』は開発段階から手応えもあり、今後もシリーズが続いていく中で「ディスガイア以外にもSRPGの看板になるタイトルがあれば」という話が開発部で持ち上がり、ゲーム性や方向性が違っている『ファントムブレイブ』を復活させる案が持ち上がりました。

シナリオ作りの苦労

城花:初代の発売が2004年なので、20年前の作品の続編を作るのは相当なチャレンジでした。当初は主人公継続は難しいのではないかと、別の主人公案を5つほど考えていたのですが、弊社の代表取締役の北角(浩一)から「それは逃げだ。ファンはきっと彼らの続きの物語を見たいと思っているはずだ」と指摘を受け、アッシュとマローネが主人公の物語を描くことにしました。最終的には13案くらい書いてみてようやく形になりましたが、そうした苦労の甲斐もあって、第1作をプレイされていない方でも楽しめるシナリオになったと思います。

日本一ソフトウェアらしさ

城花:「日本一ソフトウェアらしさ」は『ディスガイア』シリーズが代表的ですが、ユーモアやダークなネタを交えたテイストも特徴です。私は日本一ソフトウェア全体に「色んな価値観を持っている種族がぶつかりあいながら分かりあっていく」というものがあると個人的に考えており、本作でもそうした「日本一らしさ」が味わっていただけると思います。もちろんユーモアがあり、遊んでみると意外とシリアスな展開もあるテイストで、ブランドのファンの方にも楽しんでいただけると思います。

変えた部分と変えなかった部分

城花:変えたのはプレイ感です。「前作の要素は全て入れよう」という基本的な考えはありますが、コンファインの度にメニューを開くような面倒なステップは省き、現代的なテンポでプレイできるよう遊び心地はブラッシュアップしています。逆に変えなかったのは「色んな武器で色んな技が使える」システムです。これは好評の要素でしたが、3Dグラフィックになると「剣を持って銃撃技を出している」などの状態で見た目の違和感が強くなると考えました。しかし、今作は小さな頭身でコミカルな表現に落とし込むことができたので、少しの違和感は了承の上で残すことにしました。

ユーモアとシリアスのバランス

城花:『ファントムブレイブ』は可愛い見た目でありながらもシリアス・過酷な物語も描かれてきたシリーズなので、グロテスクにはならないよう気をつけつつ、シリアスさを和らげることなく描くことを意識しました。序盤は明るいですが、物語を進めると結構過酷なシーンも出てきます。そこも楽しんでいただければと思います。

シリーズの今後

城花:せっかく復活させたのだから続けていけるものにしたいという想いがあります。もちろん初代が綺麗にまとまった終わり方だったように作品ごとの綺麗なまとまりを持ちつつ、上手く再構成していきたいと思っています。個人的なアイデアですが、マローネが色んな地域に行ってさまざまなキャラクターと交流するような展開も面白いと思います。

前作を遊んだことがない人へのアピール

城花:前作を知らなくても置いてけぼりにならないよう、冒頭で初代の物語をナレーションで丁寧に振り返っています。どれくらい丁寧かというと、一度録り終わった後に「これじゃ伝わらないだろ」と指摘が入って完全にナレーションを作り直したくらい細かく語っています。ゲーム性は独自のシステムもあるので、いきなりプレイすると難しく感じる要素もあるかもしれませんが、本作では「やさしい」という難易度を用意していますので、気軽にプレイしていただきたいと思います。

開発の過程

城花:資料ではなく生のプレイ感を確かめるために何人もゲームをプレイしていましたし、私はノベライズまで読んで物語の世界をしっかりと確認しました。ただ、私は日本一ソフトウェアが好きで入社した人間なので、「20年前のゲームをプレイしなおすのは無理だよ」と言うファン心理も分かります。知らなくても楽しめる作品作りを大事にしています。

開発者のアドバイス

城花:前作を手がけた新川(宗平)さんにもアドバイスを求めたのですが、「当時の俺らも好きに作ったから、お前たちも好きに面白いと感じるものを作ればユーザーさんも面白いと思ってもらえるよ」と無責任なことを言われました。今は『クラシックダンジョンX3』に携わっている池田(真一)にも同じことを言われたので、僕たちも面白いと思えるものを一生懸命作っています。

開発精神の継承

城花:そう言えるかもしれません(笑)。

最終メッセージ

城花:私が一番皆さんにお伝えしたいのは、「20年前の作品のキャラクターであるマローネとアッシュは今でも皆さんの心を掴める存在である」という点です。前作のファンの方の心を掴みつつ新しい方にも向けたタイトルになるよう、個人的には「懐かしいけど新しいSPRG」を目指して作ってきました。初めての方からずっと続編を待っていてくださった方まで楽しんでいただけたらと思います。よろしくお願いします!

まとめ

『ファントムブレイブ 幽霊船団と消えた英雄』は、2025年1月30日にスイッチ/PS4/PS5向けに発売予定で、日本と欧州北米で同時発売されます。Steam版は2025年春頃の発売を予定しています。東京ゲームショウではセガ・アトラスブースにて試遊展示も実施中です。会場を訪れた際は、ぜひ足を運んでみてください。