『おむすび』: 橋本環奈主演の朝ドラ新作とその魅力的なキャラクターたち
『おむすび』:朝ドラ第111作目、9月30日から放送開始
NHK連続テレビ小説第111作目となる『おむすび』が9月30日から放送される。このドラマは、朝ドラ初出演となる橋本環奈が演じるヒロイン・米田結の物語だ。結は平成の糸島と神戸を舞台に、栄養士への道を進む姿が描かれる。明るく優しい結を支え、ストーリーを盛り上げるのは、個性豊かな家族たち。本記事では、結の両親と祖父母について紹介していく。
心配性で神経質な父・米田聖人(北村有起哉)
結の父親、米田聖人は、異常なほど心配性な性格を持つ。阪神淡路大震災が発生した際、神戸で理髪店を営んでいた。聖人は心配性だけでなく、細かく神経質な性格でもある。北村有起哉は、公式ガイドブックで聖人を“ネチネチした人”と表現している。聖人が心配性になった理由には、阪神淡路大震災で米田家が被災した経験が深く関わっている。
北村有起哉は、『わろてんか』『エール』に続き三度目の朝ドラ出演。『エール』では劇作家・池田二郎を演じ、主人公・古山裕一(窪田正孝)の良き仕事仲間として活躍した。過去の朝ドラ出演では、10~20話程度の出演が多かったが、現代劇の朝ドラに出演するのは初めて。公式ガイドブックのインタビューで、北村は朝ドラヒロインの父親役を演じることを役者人生の目標の一つとしていたと語っている。北村自身が持つ独特の存在感と聖人の心配性な性格が合わされば、これまでにない朝ドラの父親像が生まれるかもしれない。
名古屋の元ヤンキー、家族を愛する母・米田愛子(麻生久美子)
結の母親、米田愛子は、名古屋出身の元ヤンキーという設定。心配性な聖人とは対照的に、ギャルになる娘にも理解を示し、娘たちの進む未来を信じて応援する懐の深い母親だ。名古屋出身で、神戸に嫁ぎ、その後糸島で生活を送っていることから、土地への想いよりも、誰とともに生活するかを大切にしているようだ。義理の親である永吉、佳代とも対等に接しており、家族とともに過ごすことへの思い入れの強さが感じられる。ギャルとなる娘2人を巻き込んだ、神経質な父親との対比に注目したい。
愛子を演じるのは、意外なことに朝ドラ初出演の麻生久美子。『MIU404』(TBS系)の桔梗ゆづるのような信念の強さと柔軟さが共存したクールな女性の印象が強い麻生。一方で、『あのときキスしておけば』(テレビ朝日系)や『unknown』(テレビ朝日系)のようなラブコメでは、キュートさのあるコメディエンヌっぷりも発揮している。役者の魅力ある芝居を引き出すユーモラスなセリフが得意な根本ノンジの脚本と、相性が良さそうだ。
自由奔放な破天荒おじいちゃん・米田永吉(松平健)
結の祖父であり、聖人の父親でもある永吉は、ホークスファンの“のぼせもん”。家業の農業を手伝わずに、話題の場所にすぐに出かけてしまう自由気ままな性格だ。困っている人を放っておけない情に熱い性格だが、心配性で神経質な聖人とは相容れず、取っ組み合いの親子喧嘩を繰り広げることも。米田家を、いい意味でも悪い意味でも盛り上げる役どころになりそうだ。
永吉を演じるのは、芸能生活50年以上にして本作が初めての朝ドラ出演となる松平健。大河ドラマやその他の時代劇で、硬派で威厳ある役柄を演じてきた松平が、型破りで破天荒なおじいちゃんとは、なかなか想像がつかない。松平本人も、公式ガイドブックのインタビューでこれまで演じたことがないキャラクターと永吉を評している。ホームドラマで、演じたことがないような役柄を演じることに楽しさを見出しているそうだ。松平のこれまでに見たことがない芝居を楽しめそうだ。
家族全体を見守るポジティブなおばあちゃん・米田佳代(宮崎美子)
結の祖母、米田佳代は、自然豊かな糸島で丁寧に生活を積み重ねてきた穏やかな女性。結の良き相談相手でもあり、佳代が結に注いできた食を通した愛情が、結の将来を切り開いていく。ギャルの結と歩(仲里依紗)や、親子喧嘩を繰り広げる永吉と聖人を、愛子よりもさらに俯瞰して見守る米田家の守護神のような役回りになりそうだ。
佳代を演じる宮崎美子は、『風のハルカ』『ごちそうさん』に続き三度目の朝ドラ出演。ヒロインの叔母、ヒロインの夫の母を演じてきた宮崎は、朝ドラのあたたかくにぎやかな雰囲気を担うことができる俳優といえるだろう。佳代の性格は宮崎のパブリックイメージそのものといえるほど、ぴったりの役柄。佳代が注ぐ家族への愛が、『おむすび』の癒し部分となりそうだ。
『おむすび』の魅力
ギャルとなる結を支える家族も個性豊かなキャラクターばかり。そしてそのキャラクター性を裏付けるドラマに、『おむすび』の良さが詰まっていそうな予感がする。朝ドラ初出演の俳優も多い今作が、平成の時代をどう表現していくのか、震災をどう描いていくのかを楽しみにしたい。古澤椋子