『おむすび』: 宇佐川CPが描く平成・ギャル・震災の物語とそのメッセージ
NHK連続テレビ小説『おむすび』が9月30日から放送を開始した。第1話からヒロインの橋本環奈が登場し、新たな朝ドラとして早くも視聴者をワクワクさせている。本作の制作統括を務めたのは、『一橋桐子の犯罪日記』や『正直不動産』などの名作を手掛けた宇佐川隆史。宇佐川は、ユーモアと鋭い視点で、社会派作品として高い完成度を誇る作品を多く手がけてきた。
『おむすび』の舞台は2004年、平成16年から始まる。宇佐川は、平成を選んだ理由について、「失われた30年」と呼ばれる時代でも、人々が頑張って生きてきたことを描き、視聴者に「今も大丈夫だよ、楽しんでいこうよ」というメッセージを届けたいと考えたと語る。
物語は、震災やバブルの崩壊があった平成の中でも、2004年は「ゆとり世代」と呼ばれる時代。宇佐川は、平成の楽しい部分を描くことで「今」を元気づけたいと述べている。震災を描くことは難しいが、阪神・淡路大震災の教訓や、そのときに感じた辛さや思いが今に受け継がれているかを問い、真正面から描くことを大切にしている。
震災に関するリサーチは、1年以上前からスタッフと共に現地で100人以上の話を聞き、物語を作っている。脚本家の根本ノンジは、『監察医 朝顔』の脚本も手がけ、東日本大震災の経験を活かしている。
宇佐川は、根本ノンジの脚本の魅力について、「シンプルで美味しい町中華」に例え、複雑な初稿からシンプルにブラッシュアップされ、純粋に楽しんでもらいたいという思いを語る。『おむすび』も「毎日食べても飽きない」ような作品を目指している。
ヒロインの橋本環奈は、第1話から「水落ち」シーンで登場し、視聴者を笑わせつつ、物語のテーマとリンクしている。ヒロインのキャスティングは、オーディションではなくオファーで決定。震災を描くことを決めていたため、新人ではなく、しっかりとしたキャスティングを選んだ。
放送開始前には、橋本環奈のギャル姿が話題になった。ギャルの時代背景にこだわり、コギャル、ガングロ、白ギャル、黒ギャルなど、時代に即したものを描いている。主題歌はB’zが担当し、宇佐川は「頑張ってみようよ」というメッセージ性のある曲を求めた。
序盤の必見ポイントは、ギャル軍団に巻き込まれる主人公、食の魅力、家族のやり取りの面白さ。第4週にはパラパラのショーがあり、青春物語として元気なギャルや家族のパワーを届ける。また、恋愛展開にも期待できると語っている。