博報堂とTools for Humanityが提携、ワールドコインのWorld IDを活用した広告詐欺対策に注力
博報堂がツール・フォー・ヒューマニティ(Tools For Humanity:TFH)との提携を10月9日に発表した。TFHは、ワールドコイン(Worldcoin)プロジェクトの関連開発会社である。
博報堂は2023年12月から日本国内で、ワールドコインの個人認証機能「World ID」の生活者に対する受容性の実証実験を実施してきた。この実験の成功を受け、両社は提携を決定した。
提携により、博報堂は「World ID」の日本でのサービス拡大に取り組む。具体的には、人間とAIの区別が困難になりうる時代に向けて、「World ID」の重要性を広く認知させることが目指されている。
「World ID」は、氏名や電子メールなどの個人情報を明かすことなく、自分が実在する一意の人間であることを証明できるデジタルIDである。取得には、TFHが世界各所に設置するボール状のデバイス「オーブ(Orb)」で虹彩をスキャンする必要がある。
博報堂は、具体的な取り組みを発表していないが、10月8日の日経新聞の報道によると、この「World ID」をネット広告に活用する予定だ。AIを使って広告を閲覧したように装い、掲載料を水増しする詐欺被害を減らすことが目的である。
また、博報堂は今回の連携事業の関連売上高として29年度に100億円を目指すとしている。
ワールドコインは、AIチャットボットサービス「ChatGPT」を提供する米オープンエーアイ(OpenAI)のCEOサム・アルトマン(Sam Altman)氏らが立ち上げた暗号資産(仮想通貨)プロジェクトである。アルトマン氏はTFHの共同創業者も務めている。
ワールドコインでは、「オーブ」デバイスで虹彩をスキャンし、各人それぞれの虹彩の特徴をデジタルコードに変換することで個人を識別する「World ID」を発行している。これにより、ワールドコインは世界的なIDシステムの構築を目指している。
現在、このスキャンは無料で行え、スキャンしたユーザーは無料の暗号資産「Worldcoin(WLD)」を受け取ることができる。この「WLD」の配布により、ベーシックインカムの実現も計画されている。