チェイス・アンリの驚異的な成長…元シュトゥットガルトコーチが語る「20歳でCLデビューの天才」
イギリスのメディア『スカイスポーツ』が、U-20日本代表DFチェイス・アンリに注目し、特集を組んだ。
チェイスは現在20歳で、幼少期をアメリカで過ごした後、日本に帰国し、12歳から本格的にサッカーを始めた。彼の抜きん出た才能は、尚志高校や世代別代表で活躍し、2022年4月にシュトゥットガルトと契約を結んだ。
4部相当のセカンドチームで経験を積み、2024-25シーズンからシュトゥットガルトのトップチームに昇格。ブンデスリーガの5試合に出場し、9月にはレアル・マドリード戦でチャンピオンズリーグ(CL)デビューも果たした。
『スカイスポーツ』の特集『Next Up』では、チェイスの才能が紹介された。昨季までシュトゥットガルトのテクニカルコーチを務め、現在バイエルンのセカンドチームで個人コーチを務めるナサニエル・ヴァイス氏は、チェイスの成長とポテンシャルを高く評価している。
ヴァイス氏は、「多くの監督にとって、彼の才能を見抜くのはとても難しいことだった」と述べつつ、「彼の頭の中で思いつく限り、彼はどこまでも行けると思う。次のステップはもっと簡単だ。12歳でゼロからスタートした子供が、20歳でトップレベルでプレーしている。20歳にしてチャンピオンズリーグでプレーしている。本当にファンタスティックな話だと思うよ」と語った。
チェイスの練習熱心さについても触れ、「みんなが家に帰った後、彼は私にウェイトルームでツータッチでのボール回しを頼んできた。彼はタッチを鍛える必要があるとわかっていたからだ。他の子たちはみんな、彼より7年も経験があった。でも、あの子はうまくなることに執着していた。彼が練習したくないと思った瞬間はなかった。私がいなければ、彼は自分自身でもやっていただろう」と述べた。
また、ヴァイス氏はチェイスの集中力とリカバリー能力についても言及し、「選手に100メートルを全力で走れと言えば、ほとんどの選手はその意味を理解する。次のポゼッションの練習で3分半集中するように言われても、100パーセントの力を出すということがどういうことなのか、彼らにはよくわからない。彼(チェイス)は集中の仕方、リカバリーの仕方、そのすべてを理解していた。今の若い選手で、その意味を本当に理解している人はほとんどいない。私はコーチをしているとき、アンリを見本にしている。そういう選手が成功するんだ」と語った。
チェイスがトップチームの練習に参加した頃の状況について、ヴァイス氏は「他の選手たちが彼を怒鳴りつけた。チェイスは常にプレッシャーにさらされ、悪いパスばかりしていたからだ。彼はうまくいっていなかった」と振り返る。それでも、「やがて、彼は追いつき始め」、ドイツ代表FWデニズ・ウンダフもチェイスの変貌ぶりを認めたようだ。「目の前で成長を実感した。振り返ると、鳥肌が立つよ」と語った。
ヴァイス氏は、チェイスが遅くからサッカーを始めたことで、この環境で育ってきたことを強調し、「今の彼を見ると、素早いパスができる。彼はサッカーを始めた時期が遅かったからこそ、この環境で育ってきたんだ」と述べた。
シュトゥットガルトのセバスティアン・ヘーネス監督については、「彼は選手を主観的に判断した最初の人だった」とヴァイス氏。「彼がどんな選手になれるか、その想像力が必要なんだ。アンリはトレーニングの中で、非常に高いレベルのことをやってみせる。それを45分間か、もしくは1週間の中でも再び見ることはできないかもしれない。でも、もし彼が一度でもできたのなら、コンスタントにできるようになったらどうだろう?バスティ(へーネス監督)はそのことに気づいていた。彼は可能性を見出したんだ」と、同監督との出会いもまた、チェイスにとって幸運だったようだ。
ヴァイス氏は、チェイスのさらなる成長に期待を寄せ、「彼は多くの選手が持っていないプロフィールを持っている。彼は巨人だ。とても強い。スピードもある。空中戦もすごい。だから、単純なことをさせることができれば、彼は素晴らしい選手になるだろう。彼がクリーンで安定したプレーができるように、基本を正しくすることが重要だった」と語った。
「最初のうちは、ミスのないパスの出し方を学ぶ必要があった。それから、前方へのパスを出したり、ゲームについて少し考えたりするようになった。今の彼を見ていると、ビルドアップの際のパスが鋭く見える」と、チェイスの成長を称えた。
ヴァイス氏は、若い選手たちが1つか2つのことに集中すればトップに立つチャンスがあることを強調し、「彼は、若い選手たちが1つか2つのことに集中するお手本だ。アンリには守備とヘディングの能力があり、デュエルに勝つことができる。それが彼の武器だ。それ以外のことをクリーンにこなせれば、それで十分なんだ」と語り、チェイスのさらなる成長に期待を寄せている。