4階級制覇王者・田中恒成、初防衛戦で敗戦 カフに1-2の判定負け
ボクシングのWBO世界スーパーフライ級(52.1キロ以下)タイトルマッチが14日、東京・有明アリーナで行われ、王者の田中恒成(畑中)が同級5位のプメレレ・カフ(南アフリカ)に1-2の判定負け(114-113、113-114、113-114)を喫し、王座から陥落した。今回が田中の初防衛戦だった一方、カフは世界初挑戦だった。
試合は序盤から田中がスピードで優勢に展開し、鋭いパンチでカフを圧倒した。しかし、5回に田中が右アッパーを放った瞬間、右フックを被弾し先制ダウンを奪われた。会場からは悲鳴が响き、客席は「恒成」コールが響いた。以降、田中はボディーを軸に反撃し、ポイントを獲り返すために終盤まで打撃戦を続けたが、その分被弾も増えた。最終12回は残り40秒から猛攻を仕掛け、観客の声援を受けながら戦い抜いた。勝負は判定へと持ち込まれ、カフの手が上がり、田中は全勝の挑戦者に敗れた。
田中は2月、同級王座決定戦でクリスチャン・バカセグア(メキシコ)に3-0で判定勝ちし、2020年大晦日に井岡一翔(志成)に敗れて以来、3年2ヶ月ぶりの世界戦で4階級制覇を達成した。この記録は、元世界6階級制覇王者オスカー・デラホーヤ(米国)の24戦を上回る世界最速21戦目での達成だった。
7月にはジョナタン・ロドリゲス(メキシコ)との初防衛戦が予定されていたが、前日計量でロドリゲスが体重超過となったため、試合は中止となった。
前戦からは前後左右に多く動くボクシングを徹底し、スタミナとパンチ力強化に努めた。対戦相手のカフは「Truth(本物)」の愛称を持つサウスポーで、複数の地域タイトルを獲得し、10戦全勝で世界初挑戦を迎えていた。
スーパーフライ級では、7月に井岡を倒したフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)がWBA&IBF王座を保持しており、WBC王座はジェシー・ロドリゲス(米国)が保持している。暫定王座にはWBAのデビッド・ヒメネス(コスタリカ)とWBCのペドロ・ゲバラ(メキシコ)が就いている。田中は4団体統一を目標に掲げていた。