<三浦翔平の演技力>「光る君へ」で印象深く描かれた藤原伊周の悲劇的な一生
NHK大河ドラマ「光る君へ」で藤原伊周を演じた三浦翔平さんが、10月13日放送の第39回「とだえぬ絆」で、「俺が、何をした……」とツッコミどころ満載の言葉を吐きつつ、この世を去った伊周の姿を、鼻持ちならないヒールとして見事に演じきり、視聴者の心に深く刻まれた。
脚本の大石静さんは、2022年5月の制作発表会見で本作について「平安時代の驚くようなセックス&バイオレンスを描きたい」と語り、昨年12月の初回試写会では「ラブストーリーだけではない」と強調。「生々しい権謀術数の男の政の世界もたくさん出てきます」とも語っていた。この「生々しい権謀術数の男の政の世界」を、三浦さんが演じた伊周が「敗者」として体現した。
伊周は、「才色兼備の自信家」として登場し、父・道隆(井浦新さん)の後押しがあるイメージタレントとしてスピード出世を果たした。しかし、道隆亡き後、自分の傲慢さから人気を失い、地位を落としていく。弟の隆家(竜星涼さん)が花山院(本郷奏多さん)に矢を放つという愚行をきっかけに、都を離れる羽目になった伊周は、母・貴子(板谷由夏さん)と再会する機会を失い、このことが彼のねちっこい性格に拍車をかけた。
伊周は、ライバルの道長(柄本佑さん)への恨みを募らせ、妹の定子(高畑充希さん)の死後は呪詛に溺れるが、効果はなく、逆に自身の命を縮めることとなった。
視聴者からは「ヒール役が絵になっていた」との声があり、三浦さんの演技がドラマに大いなるスパイスとなった。