岡田将生の『虎に翼』判事・星航一:若々しさと深層演技が話題
『虎に翼』の岡田将生が演じる判事・星航一のビジュアルが話題に
NHK連続テレビ小説『虎に翼』で岡田将生が演じる判事・星航一のビジュアルが、SNS上で大きな話題を呼んでいます。航一は、見た目が実年齢よりも若く見えることから、多くの視聴者から注目を集めています。確かに、航一の見た目は若々しく、これはあえて若々しく演出されているように感じられます。
星航一のキャラクターと岡田将生の演技
「イケメン研究」をライフワークとするコラムニストの加賀谷健氏は、航一のキャラクターについて独自の視点から解説しています。航一は、主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)の同僚判事として第14週第66回で初登場しました。その際、航一は「やりづらい」と寅子を困惑させるほど謎めいた存在感を放っていました。日本屈指の美しい俳優である岡田将生が演じていることもあり、その人物像は二重のミステリアスさを帯びています。
しかし、ここ数週間の放送では、航一のキャラクターがすっかり柔らかくなり、あの「クセつよ」な感じがニュートラルにリニューアルされたかのようです。航一は、新潟編で寅子と再会し、「永遠を誓わない、だらしがない愛」の関係性を結びます。その後、東京編で家族になる過程で、寅子が星姓に変わるかどうか悩む場面も描かれています。最終的には、お互いの家が固い共同体として認め合うことになります。
星航一の家族と生活
最高裁判所初代長官・星朋彦(平田満)の後を継いで、星家の一軒家の家長となった航一は、老年期へと向かっています。白髪が混じり、顔にシミが増えてきましたが、旧来の家長のように偉ぶることなく、長男・星朋一(井上祐貴)と長女・吉川のどか(尾崎真花)に対して変に父親ぶることもありません。継母である星百合(余貴美子)が家事を担当する食卓では、航一は静かに家長の席に座っています。口癖の「なるほど」をたまに発したりしますが、頼りないわけではありません。
航一の存在感とビジュアル
SNS上では、航一のビジュアルに対して、「航一さんだけ歳を取らないな」や「もっと白髪増やしたほうが……」、「シワとシミを加えてあげて」といった意見が散見されます。しかし、加賀谷氏は、これはあえて老けメイクを薄めにしているのではないかと推測しています。『昭和元禄落語心中』(2018年)では、白髪まじりの七三分けスタイルで老けメイクを施して八代目有楽亭八雲を演じていました。同じNHKのドラマ作品であるにもかかわらず、『虎に翼』では老けメイクを控えている点が注目されます。
岡田将生の演技の深層
岡田将生は、『昭和元禄落語心中』の八雲役では、背筋が凍るような、人間性を超越した化け物めいた存在を演じていました。また、2021年の『書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』では、人ではないドラキュラ教師を演じていました。『ドライブ・マイ・カー』(2021年)では、吸血鬼的な表情をする強烈な場面があり、岡田の目元が怪しく光るシーンが印象的でした。
これらの役柄から、岡田将生は明らかに人間性を超越する域に達しようとして、新たな役柄に挑んでいるように見えます。『虎に翼』の航一役でも、岡田は「アラ還」であるはずなのに若々しく感じさせる最終ビジョンをどこに見定めているのか、注目されます。
航一の心の内と未来
新潟での勤務時代の航一が、心の内を初めてつまびらかにしたのは第18週第90回のことでした。戦中に総力戦研究所の一員だった彼は、戦争責任の一端が自分にもあるのではないかと悩み苦しんでいました。心を開かせたのは寅子でした。常連のカフェ「ライトハウス」の店外で、冬の外気につつまれた航一の頭上には、雪の結晶が美しく輝いていました。その美しい記憶から、航一は今、越冬した春に空気中を漂う霞のように自らの精神を研ぎ澄ませているように見えます。
のどかの結婚話が持ち上がり、父親として心を乱すエモーショナルな瞬間もあったりしますが、航一の最終ビジョンは、穏やかで透き通った霞そのもの。空気に自然となじむおぼろげな存在であることが、岡田将生の演技から感じられます。
結論
『虎に翼』の岡田将生が演じる判事・星航一は、若々しいビジュアルと深層的なキャラクター設定が見事に融合しています。岡田将生の演技は、航一を人間性を超越する存在として描き、視聴者に深い印象を与えています。今後の展開が楽しみなキャラクターの一人です。