映画「ふれる」の新たな予告編が公開 ─ PFFアワード2023で準グランプリに輝く佳作

映画「ふれる」の新たな予告編が公開 ─ PFFアワード2023で準グランプリに輝く佳作

映画「ふれる」の新たな予告編が公開 ─ PFFアワード2023で準グランプリに輝く佳作

PFFアワード2023で準グランプリに輝いた映画「ふれる」の新たな予告編が公開されました。同作は、小学校4年生の美咲が主人公。彼女は母を数年前に亡くし、たびたび奇行を起こして家族に困惑をもたらす状況を描いた物語です。この作品を通じて、美咲とその周囲の人々の人生が少しずつ動き始める様子が繊細に描かれています。

この映画は高田恭輔監督の劇場デビュー作であり、彼が監督、脚本、編集を一手に引き受けました。特筆すべきは、セリフがなくト書きのみの脚本で、俳優との対話を通じて制作されて一事です。これにより、俳優たちの自然な演技が引き出され、よりリアルで真情味のある物語が生まれました。

予告編の内容

予告編では、美咲と彼女を見守る人々の日々が映し出されます。美咲の微妙な感情や周囲との関わりが丁寧に描かれ、彼女の内面を覗き見ることができます。また、映画監督の石井裕也、PFF総合ディレクターの荒木啓子、映画評論家の森直人から寄せられた応援コメントも収められています。以下に、これらのコメントを紹介します。

石井裕也(映画監督)コメント

「度肝を抜かれました。高田恭輔監督は、物凄く巧い。監督がやるべきことを正確に理解しているから、俳優たちが彼を信じ、ついていく。現にこの映画に出演している俳優たちは誰もがいきいきとしていて、普通ではない輝き方をしています。撮影現場にて即興で台詞を作っているらしいです。どうやったらそんなことができるのか…。とにかく俳優の芝居が素晴らしいです。」

荒木啓子(PFF総合ディレクター)コメント

「こどもの美咲には亡き母がみえる。美咲を見守るおとなたちは、自らのかなしみを抑え、死を抱えきれないこどもを慈しむ。おとなたちは、怒らない。『奇跡』という言葉を使いたい、この映画の数々の震えるような画は『おとなは怒らない』という希望に支えられていることを、改めておもう。撮影協力の場所も素晴らしく、学生映画を全力で支える芳醇な映画環境にも感服する。傑作。」

森直人(映画評論家)コメント

「驚くほど丁寧に編まれた60分。どこまで情報を込めるか、誰を/何をどこまで見せるか。我々観客のリテラシーと、そして映画そのものを信頼しながら、各々のショット、フレームの中に美しい小宇宙が形成されている。」

上映情報

「ふれる」は9月27日から10月10日まで東京・テアトル新宿で公開され、その後全国で順次上映されます。出演者には鈴木唯、仁科かりん、河野安郎、水谷悟子、松岡眞吾、吉田晏子などが名を連ね、迫真の演技を披露しています。

作品の背景

高田恭輔監督の『ふれる』は、深い人間ドラマを描き出し、子供の心理や家族の関係性を丁寧に表現しています。予告編だけでなく、本編でも美咲の内面を深く掘り下げ、観客に強烈な印象を残します。この映画は、映画愛好家のみならず、一般の観客にも強くおすすめできる作品です。