「がんばる美人」松本若菜、ドラマ『西園寺さんは家事をしない』でアラフォー独身OLの飾らない女優人生
松本若菜がTBS系のドラマ『西園寺さんは家事をしない』で、仕事はできるが家事は一切しない独身OLの主人公・西園寺一妃役を演じ、注目を集めている。40歳の松本は、有能なOLとしてアラフォーでマイホームを購入し、独身貴族を貫く主人公が、偶然出会った天才エンジニアの父娘と偽家族を演じる難しい役柄を見事に演じきり、視聴者から『西園寺さん』ロスを巻き起こした。
松本は1984年2月25日、鳥取県米子市生まれ。高校時代に米子駅前のスーパーでアルバイト中、女優の奈美悦子と当時の事務所社長からスカウトされ、22歳で上京。新宿の鰻屋でアルバイトをしながら演技レッスンに通い、オーディションを受ける日々を送った。上京の翌年、22歳で『仮面ライダー電王』の佐藤健演じる主人公の姉役で女優デビューを飾った。
松本は「テレ朝POST」のインタビューで、当時のオーディションのエピソードを語った。「バイトが終わって、鰻のタレのにおいがついたままでオーディション会場に行ったんです。みんなは『どこそこから参りました○○と申します。今までの出演作は○○と○○です』という感じで話していましたが、私には出演作もまったくないし、どうしようみたいな感じでした。それで、『どこそこから来ました松本若菜です。今アルバイトをしていてバイト帰りなのでちょっとタレくさいです』って言ったら、『ハハハハハ』って笑ってくれて、多分その役柄とのギャップが良かったのか、おもしろいと思ってくれたのか、それとも変にかぶれていない自然体をおもしろがってくれたのか……」
24歳でTBSの劇場・赤坂サカスのイメージキャラクター・赤坂なでしこ娘に選ばれ、同劇場の情報番組にもレギュラー出演。25歳で映画『腐女子彼女。』の主人公に抜擢され、BL(ボーイズ・ラブ)とコスプレ好きの腐女子役を演じ、メイド服をはじめ初音ミクなどさまざまなコスプレ姿を披露した。松本自身は腐女子ではなく、役が決まるとインターネットで腐女子について調べまくり、必死に学習した。
その後、松本は地道にキャリアを重ね、32歳で映画『愚行録』に出演。ここでの演技が高く評価され、第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。『相棒』や『科捜研の女』などの人気シリーズ、さらにNHK大河ドラマにも出演した。だが、ゲスト出演が多く、主演やレギュラー出演にはなかなか恵まれなかった。
37歳で出演したNetflixとフジテレビ共同発信のドラマ『金魚妻』、Paraviとテレビ東京発信の『復讐の未亡人』が松本の一大転機となった。『金魚妻』では頭痛に悩む主婦役を演じ、新境地を切り開いた。『復讐の未亡人』では、夫にパワハラを働いた直接の上司に接近し、ハニートラップを仕掛ける濡れ場が話題となった。
松本は『仮面ライダー電王』(22歳)、『GONIN サーガ』(31歳)の現場で見られたが、9年の間にオーラが増しすぎていて同一人物とは最初気がつかなかった。『GONIN サーガ』では終始水びたし、血のりまみれになりながら長時間の撮影に耐え、終始笑顔を絶やさず真摯に役に向き合う姿に好感を覚えた。「がんばる美人」という印象で、今般のブレイクは納得の結果だ。